2-23:決着
スキルの相殺とは同じ威力のスキル同士がぶつかり合うことで発生するものである。
相殺された場合その余剰分はLUKの補正として獲得し、次の攻撃にLUKのボーナスを得ることができる。
しかし相殺しきれないほどの威力差があった場合、そのスキルは高い威力の方のスキルのみが発動するという結果を生む。
“強打”は誰もが使えるノーヴィスのスキルであり、その威力は全てのプレイヤーが等しい。
しかしINTを振ることによってINTによるボーナス分威力には差が生まれる。
「つまり、STR型と思われるセレブリーとVIT型のヴィーナの“強打”はほぼ同じ威力のはず……どうなってるんだ?」
ポラリスはつい、疑問を口にした。
それだけ目の前で起きたことが意味不明だったからだ。
黒い粒子となって消えていくセレブリーから目が離せないでいた。
それだけの衝撃があったのだ。
「え、えぇ……?」
それを為したアルタイル自身、状況が飲み込めずにいた。
「チッ……大きすぎるティラーウェポンにはそういうメリットがあったのかよ。」
グリーンは憶測ながら理由を導き出していた。
アルタイルはその巨大な杖のティラーウェポンのせいでAGIが低い状態だった。
しかしそれで普通のプレイヤーと比べてデメリットを背負うならば、当然メリットもあってしかるべきなのだ。
例えば“発動したスキルに強力な威力補正が発動する”とか。
それに加えて”殺人衝動”のデメリット、VIT半減が加わって即死という結果を産んだのだろう。
ノロマなアルタイルの”強打”を一度なら相殺できると読んだ舐めプによってセレブリーは退場となった。
「でもこれであとはクロヌリを倒すだけ!ソリスト!グリーンさんの足止めをお願いします!」
「……厄介な!あの男舐めプして死にやがって……!」
残り時間五分。
弱り切ったクロヌリを倒すのには十分すぎる時間だ。
「それでも!まだ終わっちゃいない!“邪なる怨嗟の呪詛”」
ベガの体に黒くなった腕で触れる。
痒みにベガの表情が曇るが、それ以上にベガは窮地に陥った。
暗雲によるAGI低下によって攻撃も防御もできない状態が続く。
呪いによってHPが削れていく。
当然このままでは目の前のグリーンを倒せない。
それどころかクロヌリに加勢されてしまう。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫ぶことで自らを奮い立たせようとするもグリーンはさっさとクロヌリへと向かっていく。
それから数分、ポラリス、デネブ、アルタイル、そして数人のリスポーンしてきたプレイヤーの叫びが聞こえる。
「これで終わりだ!長かった!」
ポラリスの叫びが聞こえたかと思うと団長に続けてプレイヤー達が叫ぶ。
「「「「「ハイデリオン傭兵団の誇りとは力!ハイデリオン傭兵団の誓いは“全ての人間とティラーのために!”」」」」」
時間は残り30秒。
クロヌリを撃破したという叫びが戦場に響き渡った。
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