1-9:北極星に墜とされる
「僕はポラリス。モーノ☆ポラリスって言います。このWHITEサーバーの公認ストリーマーチームV-STARSのリーダーをしています。」
青い貴族風のスーツのような格好をした少年。
グリーンは目の前の少年を見た記憶があった。
所謂動画サイトやSNSで活動しているタレントのような人だったと思う。
なぜ、そんな相手が自分に話しかけているのか、そもそもWHITEサーバーとか公認ストリーマーとかよくわからない。
「あ、その顔はよくわかってませんね?このゲームの目的である“ラスボスをもう一つのサーバーより先に攻略すること”を達成するために1年間このゲームを配信する契約を結んだストリーマー集団が公認ストリーマーってことです!そして僕はそのリーダーってことで!」
「あぁ、まぁ、つまりこのサーバーのリーダーってことでいいのか?」
「えぇ、その通りです!WHITEサーバーは僕等V-STARSから4人、BLACKサーバーにはまた別のストリーマーチームから4人参加しているんです!公認ストリーマーチームは1年間このゲームの企画を盛り上げるために必死にプレイしてくれってことで!」
「あぁ、それでアタシに何の用だよ?もう外へ出てくつもりなんだけど?」
ポラリスはジャジャーンといった感じで空中に何かを呼び出すとそれを見るように促してくる。
「僕はまずこのゲームを始めた人のためにこのゲーム内のマップを作っているんです!」
「あぁ、それで?」
「メニューから呼び出せる掲示板で公開しているので新しい情報はそこにお願いします!じゃなかった、これから行くところに困っているでしょうから簡単に説明しますね!」
なんだかプレイヤーだとわかっていても疲れる相手だと思いながらも話を聞く。
「僕たちが居るのがこの西都の少し西、草原ダンジョン(仮)です。草原を超えると湿地、沼って感じで足場がどんどん悪くなります!敵も強くなるので草原の部分でレベリングがいい感じです!」
更に地図を広く見えるように拡大してポラリスは続けた。
「人間の街っていう中央都がここ、南の山を越えた先にあるのが宗教都市でもある南都、ビスティアっていう獣人が起こした国があるのが北都、東都はデスティアによって支配された危険地帯だそうです!」
「あぁ、意外にいろいろわかってるんだな。ダンジョンはどうなんだ?」
「ダンジョンは各都に一つづつあるそうですけど中央はなぜかないそうです。だからここのダンジョンを含めて4か所ってことになりますね!」
なんとなくで会話を続けていながらもグリーンはポラリスの出した地図の一点に視線が吸い込まれていた。
「ダンジョン以外だと戦闘ってあるのか?」
「ダンジョンの周辺にはビスデス、モンスターがいるようですが、すごく弱いみたいです。僕らのチュートリアルの敵が出てきた辺りは一応ダンジョン扱いだそうですけどほぼ同じ感じです。」
「あぁ?ダンジョンを抜けた感じなんてなかっただろ?ここもダンジョンじゃねぇの?」
「西のダンジョンは入口がないらしくて草原=ダンジョンって感じらしいですよ?」
「ほーん……なぁ、ここまで聞いといてなんだけどさ、アタシに構ってる暇あったら他の奴を誘ってやれよ。今んとこアタシは戦闘するつもりもないし、攻略する気もないしな。」
そう告げた途端、ポラリスはキンキンとうるさい声で怒り始めたのだった。
「なんでそんなこと言うんですか!みんなクリア目指して頑張ってるのに!」
「あぁ、うるさいうるさい。とにかくそういうことだからじゃあな、またどっか出会うこともあるだろ。」
そう言ってテントを出ようとするとポラリスは肩を掴んでそれを無理やり引き留めたのだった。
「あぁ!?……はぁ、どうすっかな……。」
周囲を見ればポラリスに人気があったのか注目を浴びている感じがする。
それを見てグリーンは完璧な作戦を思いついたのだった。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
突然、傭兵団のテントどころか、キャンプ内全てに響き渡るような悲鳴が轟いたのだった。
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