1-7:ジョブ設定チュートリアル

テントの中に入ると機嫌を直したシャンザンは奥の机まで連れて行ってくれた。


「さぁ、まずは自己紹介をしてもらおうか!俺の名はシャンザン!ハイデリオン傭兵団の副団長兼指導教官だ!」


「あぁ、アタシはグリーン。これからここで厄介になる。」


シャンザンは早速と言った様子で三枚の紙を並べだした。


「さぁ、この中からジョブを選ぶがいい!基本3職こそ至高!圧倒的な力、圧倒的な対応力!どれを選んでも必ず君を強くしてくれるだろう!」


【中位権限NPCシャンザンよりベーシックジョブへの転職を提案されました。転職しますか?】


「……あぁ、これが普通のジョブなのか。ユニークジョブっていうのはどういうジョブなのか教えてもらえるか?」


そう聞くとシャンザンは早口でまくし立てるように話しだした。


「ハッハッハッハ!ユニークジョブぅ?あんなゴミに転職するなぞ愚か者か力を求めぬ臆病者だけだぞ!基本3職は転職した時点からパッシブスキルで戦闘補助を得られるというのにユニークジョブは転職してなお、クエストをこなさないとスキルを使用できないのだ!さらに言えばほとんどのユニークジョブは上位の職業へと転職することができないのだ!仮に転職できたとしても基本3職のような幅広い転職先は存在しない!さらにさらにぃ!ユニークジョブの上位職業というのはほとんど下位のそれと違いがないのだ!薬を作れる、もっといい薬を作れるようになった、というだけで喜ぶなど、もはやただの狂人としか言いようがない!馬鹿ばかりだよ!ユニークジョブなど!アーッハッハッハッハッハ!ハッハ!ッハッハッハッハッハ!」


高笑いしながら言い切ったその様子を見てグリーンはもうユニークジョブのことは聞かないことにした。


“まぁ、ようは専門職って感じなんだろうな……。”


「あぁ、わかったからこの3つはどんなジョブなのか教えてもらっても?」


シャンザンは楽しそうに説明を始めた。


「まずは“戦士”だ。Aスキルも最初から強力な攻撃力がある上に、Pスキルは“VIT強化”で、近距離での殴り合いに強くなるぞ!MPを貯めるには敵の攻撃を受け、敵に攻撃を当てなければならない関係から最もスキルを連打できる攻撃的なジョブだ!基本3職の中でもっとも人口の多いジョブでもあるが、それだけ安定した強さを持っているということだ!」


シャンザンは次の紙を取り出して説明を続けた。


「次は“狩人”だ!Aスキルには設置型や遠距離から発動できるものが多いがその分MPを貯めるのが苦手なジョブでもある。Pスキルは“DEX強化”で敵の弱点を正確に狙うことで高いダメージを出すこともできる。MPさえあればかなり万能に近い戦いができるぞ!」


シャンザンは最後の紙を取り出して説明を始める。


「“助祭”だ。Pスキルは“INT強化”でスキルの効果量が大きくなる。が、しかしこれはあまり薦めていない。Aスキルの“治癒”は強力なのだが……MPを貯める手段がほぼ存在しない以上、前線で戦士とお互いにサポートするのが一番スキルを活かせるという点から特定の相手と一緒にダンジョンへ向かう者にしか薦めていない。」


ここまでの説明を受けてグリーンは気になったことを聞いてみることにした。


「ジョブを戦士にしてPスキルをもらってから他のジョブに変えたりはできるのか?」


シャンザンは得意げにさらに説明を続ける。


「Pスキルはダメだ。……一応、Aスキルに関しては熟練度を最大まで貯めることで8割ほどの効果で他のジョブでも使えるようになるが、そこまでにかかる時間は膨大だ。それにAスキルの枠をそれに割くくらいならCスキルとして他のティラーから受け取ったほうが効果的だ。」


「つまりこの中から選ぶしかないってことか……。」


「さぁ、君はどの基本3職を選ぶんだい?」


グリーンが選んだのはこの中の一つ。

最も自分の目的の助けになるであろうそれを選ぶのだった。

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