-復讐開始の合図-
体がビクッと跳ね窓が開いたのかとゆっくりと目を向ける。窓は、さっき自分が開けた分しか開いてはいなかった…。
「驚かすんじゃねぇよ…はぁ」
なにやら言い争そう声が聞こえる。
杉田と渡辺と宇佐美…それからこの声は、浅田だな。
「なにあの転入生!腹立つんだけど!!」
これは宇佐美だな…足踏まれたのがそんなに腹立ったのか…自分がしたことにやり返しただけでも…キレる子供は、これだからめんどくさい。
「宇佐美…お前がちょっかい出すからそうなったんだろ」
「浅田は、黙ってろ!」
「あたし達でどうにかするしかないね?宇佐美手作りクッキーの約束したんだよね?それならさー!全部のクッキーに砕いたアレ入れちゃえば?」
「え…でも、アレ入れたらあたしってバレちゃうじゃん?」
カランカランと音がした。なにか伝えているようだがこちらには何も聞こえない。もしかして…
「くっだらない。俺はあの女より成績がいいんだ!1位を邪魔するならやり方を考える」
「ガリ勉くーん!さっきの問題、実際のところ解けたの?(笑)ただの負け惜しみじゃん!」
バァン!!とまた大きな音がして浅田が、出ていくのを二人が追いかけていったように思えた。
ゆっくり顔を窓の隙間に覗かせて見るとそこには誰もいない。
……手作りクッキーになにか仕込む気だな。
食わなきゃいい話…でも目の前で食べてよとか言われると断れない。まぁ……俺は化学の先生だ。考えようによっちゃ避ける方法もやり返す方法も浮かんでいる。
家に帰り太田さんが、大きな声で出迎えてくれた。
「おかえりなさい!どうでした?初登校は?!」
「ちょっと緊張したけど大丈夫。あ!あのねクラスの友達に手作りクッキー作って交換する約束したの。材料ってある?」
「まー♡クッキーですか…薄力粉と…あ、無塩バターがないですね!買ってきますね!」
「うん、お願い」
薬品系は、すぐバレる。匂いや味が変わってしまう。
「そーいえば…」
太田さんがこの前言っていたあれを使おうか…
多少のリスクはあるけど死ぬことは無いだろう。
太田さんが、帰らぬうちに…
「わたし、お菓子作り久しぶりなのかしら?」
クッキーの材料を量りながら尋ねると そうですねぇ
と答えた。
「あら!抹茶味にされるんですか?」
「そう、きっと宇佐美さんはチョコ味を作ってきそうだから」
生地を捏ねて形を整え冷凍庫で冷やす。
「これ洗っちゃいますね!花音様は紅茶でも入れましょうか?」
「うん 、ありがとう」
みんなにも食べて貰えるように宇佐美のだけは、半分あるものを入れた。わかるように小さく竹串で穴を開けて。
25分ほど焼いて熱々のクッキーが出来上がった。
格子模様にし他からなかなかいい見栄えだ。
「あら!穴が空いちゃってますね」
「久しぶりに作ったんだもの。しょうがないわ」
浅田さんには、2つのラッピングを用意してもらい穴のあるクッキーを宇佐美用につめこんだ。
「ふふっ!楽しみ」
明日、どんな事になるんだろうか…
普通に食べてもらうクッキーもきちんと包装してそれを見ながら笑っていると太田さんも嬉しそうな顔をしていた。
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