-復讐開始の合図-
それから二週間-...桜ヶ丘高校の転入試験の結果を待っていた。そわそわするのを母親が、苦笑いで見ている。落ちることは無い...とは思う。俺はあの学校の教師だったんだからレベルぐらいわかっているつもりだ。
ピーンポーン...
「速達でーす」
「花音!きっと結果よ!」
「うん!」
郵便配達の人から手紙を受け取りバリバリと行儀悪く封を破った。
「成田花音殿
合格。
桜ヶ丘高校への転入を許可する」
「ママ!受かった!」
嬉しくて胸がいっぱいだ。これで復讐のスタート段階に立てた。
「良かったわー!おめでとう!花音!」
「ありがと!」
そこからは、忙しなかった。制服を頼んだり書類なんかもたくさんあってあっという間に登校の日がやって来た。
見慣れた制服…着たことは無いが、思い出すだけでイライラする。全身鏡の前に立ちクルッと回転して見せた。
「ふん!俺の方が、どの女子より似合ってんじゃねぇかよ」
「花音ー!遅れるわよー!」
階段を走り降り太田さん手作りの弁当を鞄に詰め込んで学校へと向かった。
家から学校までは、電車で15分。
のどかな景色を見ながら復讐の合図は鳴ったと胸が踊る。
「えーと…確か…こっちの道を…」
あった正門だ。ここから俺の教師の時間は、始まりここで俺の生涯は終わった。
「覚えてろよ…あいつら」
正門をくぐり職員室に向かうとまずは、校長先生が出迎えてくれた。
「おめでとう!ここが、今日から君の学校だ。ぜひ、楽しんで学校生活を送ってください」
(楽しめるわけねぇだろ…この無能の校長が)
「はい!ありがとうございます」
職員室をみわたすと見たことある顔ぶれの教師がニコニコしながらこっちを見ている。
「えーと…じゃあ担任を紹介するわね」
間宮が、しゃしゃり出てきた。
真っ赤な口紅を年甲斐もなく付けて香水を撒き散らしている事に気がついていない。
「杉田先生!この子が…「成田花音です。よろしくお願いします」
「おー!転入生の!待ってたぞー!楽しくやろうな!」
笑顔を浮かべながら『この脳筋が』と心の中で思った。
「じゃあ、そろそろクラスの方に移動してもらいましょうか…分からない事があればクラスの生徒に聞いて下さいね」
校長先生は、満面の笑みを浮かべていてその笑顔が、なぜか気持ち悪かった。
「よぉし!じゃあ行くか!」
ポンッと肩を叩かれた途端、鳥肌が立った。
こいつには、どんなお返しをしてやろうか…そんなふうに思いながら杉田の後をついて行った。
「先生が、先に入って呼んだらクラスに入ってきてくれ」
「はい」
ガラガラと扉を開けながら杉田は、座れーと声をかけている。俺の時は、教室に入っても誰も座らないし返事もない…笑い声なんて聞いたこともない。それが無性に悔しかった。
「じゃあ、転入生入ってきてくれるか」
ゆっくりと足を進める…さぁ今日からここは俺の復讐の場所となるんだ。
教室に入るとクラスの男子がどよめいた。
「おい!自己紹介させてやってくれ」
笑いながら生徒たちを静まらせる。
チョークを持ち黒板に向かうと自分の名前を書いた。
「成田花音です。よろしくお願いします。」
おぉー!と拍手が、聞こえた。宇佐美の方へ目を向けると案の定こちらを睨んでいる。
やっぱりな…思った通りだ。
「じゃあ、席はえーと宇佐美の後ろ!宇佐美手を上げろ」
だるそうに手を挙げてこちらをずっと見ている。
静香に横を通り過ぎようとした時…
「最初のうちだけだから。あんたがチヤホヤされんの」
早速、宣戦布告してきた。
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