-花音-
だんだんと日記帳は、内容が重くなり始める。
この子は、いじめられていたんだと...それも相当悪質ないじめだったはずた。
『7月16日 最初は無視されているだけで終わりだった。1人で行動するのに私は抵抗なんてなかったからそれで良かった。だけど体操服や体育シューズが捨てられていたり濡らされるようになっていた』
『7月18日 待ち伏せをされてお金を要求された。次も持ってこいと脅された』
『7月19日 ママの財布から1万円を盗んだ。胸が苦しい。罪悪感がすごい...これからどうすればいいんだろう』
『7月20日 明日から夏休み...やっと解放される...』
『8月25日 新学期が始まってしまった。玲奈に呼び出され髪の毛をひっぱられて虫を目の前に出され食べろと言われた。断わると思いっきり蹴られた』
…読めば読むほど自分の記憶と重なって頭が痛くなってくる。悔しかっただろうな...俺も相当、悔しかったから。彼女の気持ちが痛いほどわかる。
『9月17日 もう耐えられない。死んでくれと言われた。玲奈や麻里奈は私を椅子にして昼休みを過ごす。高校卒業まで続けると言われた。パパ ママ ごめんなさい。もう生きていくのが辛いです。育ててくれた恩を何も返せずごめんなさい。次生まれ変わってもパパやママの元に生まれ変わりたいです。』
それから後は真っ白のページが続いていると思っていた。しかしペラペラとめくっていくとそこには、彼女を死に追いやった生徒の名前が書いてあった。
「こんなの書いても見てくれなきゃ意味ないよな...」
俺もそうだ...遺書には何があったか書いた。
でも、あの学校が原因で自殺した教師がいるなんて絶対に公にはしない。
ぐしゃっとページを握り俺は、この体で復讐をすることを誓った。
-...そして退院日がやってきた。
「お世話になりました」
「もう二度と馬鹿なこと考えないようにね?」
先生と看護師が、優しく微笑みながら見送ってくれた。
今日から復讐が、始まる。
...の前に予定を立てなきゃいけない。走る車から空を見上げて今までの侮辱を全てあいつらに返してやる。
「ママ?」
「どうしたの?どこか痛い?」
通り過ぎていく景色に見覚えがあった。
ここは、俺が住んでいたアパートが近いはずだ...
実家も近い...。俺がほんとに死んだのかどうか確かめたかった。
「ううん、あの今から寄って欲しい所がある...の」
「そうなの?どこ?」
道を案内しながら実家の方へ向かっていく。
母親は、不思議そうにしながらも進んでくれた。
「あ、あの角を左に曲がって」
曲がれば実家だ...曲がった先にある実家を見て愕然とした。
家の塀には落書きがひどく書かれていて家の壁にもペンキで"ロリコン教師の親!" "息子は犯罪者"
言葉に出すのも躊躇う言葉が描き連なっていた。
「なぁに?ここ?花音の知ってる人?」
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