-地獄の終わり-

「そんな事して...許されると思ってるんですか?!」


震える声で杉田先生へと聞くとハハハッと笑った。

他の生徒も一緒になって笑っている。


「そんな事?証拠ありますか?俺が、先生を陥れた証拠!出せるもんなら出してくださいよ」


「...証拠...缶コーヒーがあります!まだ警察に言えば!」


「あー...あの缶コーヒーねぇ...宇佐美どうなった?」


「え?もう処分されたし違法ドラッグが入ってたわけじゃん?そんなのパパに頼んで消してもらったよねー」


.......あのクッキー事件の時宇佐美が前に言っていた。


『親に言って揉み消してもらうから』


そういう事だったのか...もう何をしても無駄ということか。


「でも!俺は無実だと警察が...」


「佐倉先生(笑)聞いてましたか?あなたの無実の証拠は消されたんですよ!残ったのはあなたが未成年の生徒に手を出したという事実だけ!残念でしたね」


「俺の味方だと言ったのも...」


「するわけないじゃないですか!そう言っとけば先生が俺に疑いを向けたりしないと思ったからですよ!」


目の前が真っ暗になる。

何も言えず俯いていると宇佐美が、顔を覗いてきた。


「先生!楽になりたいでしょー?もういっそ死んじゃえばいいんじゃない?♡」


唇をかみ締め宇佐美の方へ顔を上げると"パァン"とその頬をひっぱたいていた。


「お前...そんな事言ってもいいと思って言ってるのか?その言葉で傷つく人がいると思わないのか?口から出た言葉は取り消せないんだぞ...」


ボーッとしている宇佐美は、無言で立ち上がり深呼吸をすると思いっきり俺の顔を蹴りあげてきた。


「おい!お前!なにしてくれてんだよ!お前みたいなゴミがあたしに手を挙げるなんて勘違いしてんじゃねぇよ!ゴミ!死ね!死ね!」


怒鳴りながら何度も何度も力いっぱい蹴ってくる。


「親にもぶたれたことないのに〜...かよ」


「うっせぇ!麻生!」


「もう終わり終わり。宇佐美...やめな。ゴミにキレてもしょうがないし。ねぇ?ゴミ先生」


持っていたジュースを頭からかけられた。


「ほんとにゴミじゃーん(笑)これ捨てといて」


杉田先生と生徒たちは笑いながら俺の横を通りすぎていく。


「惨めですね」


麻生が、ボソッと呟いたのを俺は、聞き逃さなかった。惨め...か。ぐしゃぐしゃになった書類を握りしめながら声を殺して泣いた。


「絶対に許さない...」


水道で髪を洗い服もロッカーに置いていた物に着替えなに食わぬ顔して職員室に戻った。


「雨でも降ってたんですか?」


杉田先生が、ニヤニヤしながら聞いてくる。

それを無視して書類の片付けを始めた。面白くなかったのか杉田先生は、俺を睨み続けている。


終業時間になりほとんどの先生が帰る中ただ、片付けを続け校長先生にもう帰っていいですよと言われたが、大丈夫です。もう少しで帰りますと告げパソコンを打ち続けた。


そして俺は、屋上へと向かった。

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