-排除対象-

次の日、渡辺が白い紙を手渡してきた。

もしかして...ストーカーの手紙か?と聞くと彼女は小さく震えながら頷いた。


恐る恐る開くとそこには確かに脅迫めいた文章が、下手な字で書き殴られていた。


【今日は下着は何色かな?他の男と話したら殺すから。本気だから周りを見ながら後ろを気にしながら歩かなきゃダメだよ】


「うわー...これは...渡辺...警察にちゃんと話に行こう。俺が親御さんと話するから...」


しかし彼女は、涙目になりながら首を横に振る。


「でも、本当に何かされたらどうするんだ?俺は見張ってはいられないんだぞ?ちゃんと警察に行こう...」


渡辺は、震える声で「わかりました」と言った。


「放課後、裏庭で待ってます..私と2人でいるのがバレたら先生が困ると思うので...」


「わかった。放課後、裏庭に行くから先生の車で行こう」


それから放課後になり約束していた裏庭へ向かった。

しかし、渡辺の姿は無い...


「帰ったのか?いや...でもなぁ...少し待つことにするか」


20分程待っていても渡辺が来る様子は無い。

やはり警察に行くのを躊躇ったのか...どうするべきかと悩んだが彼女の意志を尊重する事にして自分は、帰ることにした。


「先生っ!待たせてごめんね」


「大丈夫。じゃあ、警察に行こうか」


2人で車へ向かう途中彼女の様子がどこか違う気がした。あんなに落ち込んでいたのに吹っ切れたように明るく楽しそうにしていた。もしかしてストーカーの事は、誰かが解決してくれたのか?

悩む俺の前に缶コーヒーを渡してきた。


「これ!遅れちゃったから!買ってきた」


「悪いな...気を使わせて。ありがとう」


ポッケに入れて車へ向かおうとすると渡辺が、服の裾を引っ張った。


「ん?なんだ?」


「先生寒かったでしょ?暖かいうちに飲んで?あと、警察に話す内容を先生に確認してもらいたいから車で聞いてね」


「あぁ、わかった」


駐車場まで歩いていく間も渡辺は、ストーカーにされた内容を少しずつ話してくれていた。


「先生の車どれ?」


「あの白のワゴンだな」


鍵を開け車に乗り込むと渡辺は、鞄の中から紙を出してこれを確認してと渡してきた。


「えーと...まずは...ストー...カー...の...あれ?文字が」


目の前がぼやける。

文字が、泳いでいるような感覚...なんだこれ...


「...な...んか字がうまく...読め...」


「先生!やーっと薬が効いてきた感じ?」


嬉しそうに渡辺が、小さな小瓶を見せてきた。

もしかして...コーヒーに?


「な...んで...こんな...こ...」


「そりゃあ、先生が邪魔だからだよ?やーっといなくなってくれるんだね!」


渡辺が、話す言葉もうまく聞き取れない。

意識も朦朧としていた。

.....それからすぐに目の前が真っ暗になった。





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