大学の天文サークル、潜り込んだ新歓コンパでのひと目惚れから始まる、ひとつの恋の物語。
美しくもせつないSF恋愛劇です。
流星群や超新星爆発など、モチーフである星や宇宙の使われ方がとてつもなく綺麗!
もう本当に読後の余韻がすごくって……。
例えば「天文学的」という慣用句が示す通り、天文の世界のスケールというのはとにかくどこまでも壮大です。
人の人生なんて誤差みたいなもの、というのは、作中序盤でも言及されているところで、しかしそれがまさか、その先の展開でこうも胸に響いてくるなんて……。
本来なら感じられるはずのない時間の壮大さ、気の遠くなるような時の流れを、「愛する人への想い」という形で体験させてくれるところがもう本当に大好き。
眩暈がするような宇宙の大きさが、そのまま想いの深さとして、こちらの胸を押し潰しにくるかようなこの読み味。
しんみりと切なく、でもしっかりと心の奥底に響く、強くて美しい恋の物語でした。