第47話 三国同盟2
047 三国同盟2
男の生活の周辺で、風向きが少し変わった。
それは、明智玉以下幼女たちを嫁?にした後であった。
まさに、孫ができたように、可愛がり始めたのである。
人々はかれの事を『ロリ源氏』と呼ぶようになった所以である。
何くれと、手元から娘を離さない男だったが、この間隙をついて作戦を立案したのは、誰あろう望月出雲であった。
自分の娘が小早川隆景の嫁にいって悲嘆に暮れていたのである。
「殿は、上杉謙信を家臣にしたいといっていたのう」戸次道雪が呟いたのである。
「さすがに、無理ですな」と望月。あの男は何を考えているのだろうか。他家の大名、それも本人を家臣になどできるはずがない。上杉といえば越後の龍と呼ばれる、戦の神のような人間である。
「武田信玄も家臣にしたいと仰せでした」今度は竹中である。
「無理をいうな、そんなことは現実的に不可能なのだ」
そこでふと、考えたのである。
信玄には、子供も嫁もいたが謙信にはいなかったな、と。
ここには、いろいろな情報が入ってくる。こことは参謀部である。
その望月は、あの男の娘が恐ろしいほどの可愛さを持っていることも知っていた。
あれは、反則級の美しさである。まさに、白人の良いところと日本人向きに柔らかい顔つき。(金髪碧眼の美少女)
世が世であれば、アイドルしかもスーパーアイドルになれる逸材。勿論、望月はそんなことは考えているわけではないが。
この時代の日本男児には、あれは驚異的な威力を発揮するはず。(嫌、この時代でなくても恐ろしいほどの威力を持っている)
こうして、策謀はめぐらされる。
謙信が熱心になんらかの神(おそらく毘沙門天)に祈っている。その際に、幻覚剤を香に混ぜておけば、混乱する。その際に神の啓示(暗示)を与える。このようにして奇跡はお膳立てされるのだ。
こうして、娘をうまく言いくるめて、越後に向かわせる。
謁見を申し出る。そうすれば何かが起こるのではないかと。
しかし、この作戦うまくいくかより、承認されるのか?
望月は竹中、黒田に相談する。
だが、戸次参謀総長の決裁を得なければ無理である。
なんでも、殿の意見が最重要という男である。
「さすがに無理では?」現実的な竹中が否定的に言う。
「某も戸次様はうんとは言いますまいと愚考いたします」と黒田。
勿論、望月もそう思っていたのだ。
そうして、雁首揃えて戸次の屋敷を訪れるのであった。
「ふむ、なかなかに興味深い申し出なれど、殿のナディア姫様溺愛はなんともできないであろう。まあ、話してはみるが」まるで、興味ないといわんばかりに引き取った戸次だった。
彼はこのころ、大友家侵攻前の切り崩し工作の準備に吉弘鎮理(後の高橋紹運にならない勇将)と奔走していた。
だが、一応話を引き取った手前、話をしてみる。
「何を馬鹿なことを言っているのか!望月か!このような下らぬ策を考えるのは」男は絶叫した。
やっぱりこんなことになるわな。戸次は、誰の策とも言ってはいないが、男は一瞬で読みきったのである。
「娘を取られたことに対する嫌がらせか!」そう望月も娘、千代を溺愛していたのである。
「望月め~!殺す!」そう叫んだ頭のおかしい男だが、ふと動きが止まる。
そうなのである、謙信は独身、しかも後継を決めず死んだため、上杉家は、景勝派と景虎派に分かれて戦うことになる(御館の乱という)。さすがに、越後加賀能登の上杉に隙を作ってほしくはない。
「望月に娘はほかにおらんのか」またも妙なことを言い出す男。
この前、その娘(養女で幼女)を大量に斡旋されて婚姻?した男なのに、またしても同じこと言い出す始末であった。
「謙信公は、今まで独身を通されたお方、普通の娘では無理なのでは?」
「しかし、ナディアは駄目じゃ!」男は半泣きの半狂乱である。
「では?」
「み」
言葉を発しようとしたときに室内に殺気が走った。
「貴方、今何か、不穏な発言をしようとしましたね」その時、側室竜童未来が入ってきたのである。
それは、外国人の竜童未来と言おうとしていたのである。
「貴方、どこに風穴を開けてほしいのですか」冷たい視線が突き刺さる。
金髪の美丈夫である。しかし、ナディアのような柔らかさが少し足りないのである。
それは、少し冷たく見えてしまうのである。まあ、金髪美女であることはな違いないのだが。
「いいえ、そのようなことは」何とか答える男。冷や汗が額に流れる。
恐るべき狙撃術を持っている女、間違いなく討ち殺されるであろう。
この男の場合は、穴が開いても動きだそうとするのではないかという疑問が湧き起こる。
彼女は城内の女性に、狙撃を教えている。
故に、城にいる女性は皆、一朝事が起これば皆狙撃手に早変わりするということになっている。
「それに、ナディアも婚姻もせずにいるのは不憫です」
「道雪、話を進めて頂戴」なんと、男の嫁が許可を出したのである。
「ははあ」戸次道雪は平伏する。彼にも、その男にも怖いものは存在したということであろう。
男はただ悔し気に臍を噛んでいた。
しかし、声を発することはなかったのである。
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