第36話 旭日の艦隊『ライジングサン』

036 旭日の艦隊『ライジングサン』


それは陽が昇る国の艦隊、かつて連合艦隊と称された艦隊がいた。

かなりの過去の未来の事である。

男にとって、それは、昨日の事のように思われた。

薄い記憶ではあるが、男は、連合艦隊司令長官として、太平洋を荒らしまわったのである。

(完全に美化されているので、間違った記憶になっている。)


そして、今、目の前には、木造製の戦艦群が並んでいた。

英国設計のガレオン戦艦。

かつて、その帝国も大英帝国で戦艦を購入し、設計を真似て、学んでいたのである。


各部には、補強の鉄板を張り付けて、火縄銃からの防御力を上げている。

舷側には、青銅砲発射用の窓もついている。

片舷7門の砲が備えられている。

甲板にも砲が据えられていた。

メインマストにたなびく旗は、2つ頭の八咫烏、そして旭日旗。

まさに、太平洋へと出撃せんとしていた。


彼らはまさに、太平洋を荒らしまわるために編成された艦隊であった。

そもそも、この男は、考えていたのである。

資源の少ない日本で一体何をするのか?

何故このような何もない場所を奪い合うのか?

全くの無駄であると。

我が帝国が世界と伍して闘ったのは、資源を確保し繁栄するためなのである。

(結局、その帝国にも切られることになったのだが・・・)


そして、男は密かに考えていた。

今、この現在なら、発見されていない資源をほぼ手中に収めることができるのでは。と

それに、発見されていない国を発見すれば自領にすることができる。

たとえ原住民がいたとしても、歴史的に発見すればいいことになる。

そのために、まずは、戦力により占領し、相手側に認めさせる必要があるのだ。

しかし、資源もない場所(正確にはいまだ必要とされていないだけ、あるいは、埋蔵されていることが発見されていない地)を必死に取り合うほど、西洋人はまだここにはいないのである。


和船は、外洋には向かない。そのためのガレオン船だった。

男はその手の知識には、定評があった。


いまや、それが英国からもたらされたのである。

そして、今現在もっとも恐るべき民族は、この日本、兵力百万、刀による武装した戦闘民族。

西洋をして、侵略をあきらめさせた民族性(好戦性)。そして、世界でも最先端の火砲と兵器をもつ軍隊。それが、鈴木大和守重當西戎大将軍が指揮する軍隊であった。


海兵隊は島嶼上陸作戦こそもっとも力を発揮する軍。

すべてがここに向けて練られた計画の末であった。

男は、この世界に生まれ落ちた瞬間から、世界の半分を自分の領土にすることを考えていた。


三本マストが屹立する帆船1番艦『大和』2番艦『武蔵』3番艦『山城』4番艦『伊勢』。

すでに4隻が完成し、海軍は操練に余念がない。海軍には、九鬼、小早川水軍の海賊から腕のよいものが選抜されていた。

今後も、新造船が次々と完成される予定である。伊予や土佐からも精鋭を集めなければならない。


まずは、太平洋への足掛かりは、九州。

そして、そこには、南蛮帝国の足がかかりとなる、大友宗麟の国がある。

続々と長門国、伊予国に、鈴木の兵が集まっていた。

博多攻略、北九州地方攻略のためである。


狙うは、筑豊地帯の炭田である。

この石炭を使い鉄の増産を進める。

勿論、いまだ、石炭を使うことを考えている人間は、世界にはまだこの男以外にはいなかったのである。


一方、迎え撃つ大友家。

今、お家は危機に瀕していた。

そもそも、戸次道雪、吉弘鎮理(後の高橋紹運、この世界では高橋にはならない)は大友家の重臣、それをかなり怪しい手段で引き抜いてきたのである。

その当時は、まだ問題にあまりならなかった。

戸次道雪が錯乱した程度で済んでいたのである。


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