第35話 会談

035 会談


甲斐武田信玄代理、武田信繁との会談。

新型火縄銃の購入要請の件、却下。

但し、火薬等は、十分供給する。

武田家が征夷大将軍を狙うことに鈴木家は賛同する。


織田信長との会談。

近江への侵攻は却下。

既に近江は、鈴木傘下の戦国大名が張り付けられている。

それでは、合力して武田家を倒す。却下。

武田家とは、義信を通じて親密な関係が存在する。

戦国最強騎馬隊と戦う意義を見出せない。


「それでは、儂の領国がふえんではないか!貴公は儂の義弟ではなかったのか」気短な信長のボルテージが上がる。

「そうですか、では、義弟として申し上げます。海外に目を向けられてはどうですか」

「何!」

「我々は、中華を目指しませんので、ご随意に」

「!」

「軍団を越前に集結させれば、半島への出発基地として斡旋します」

信長の東進には、武田、上杉を越えねばならないが、それは大きな壁である。

そこで、半島を攻撃するように唆したのである。

「まさに切り取り放題でしょう」

こうして、歴史上、朝鮮半島攻略作戦が急速に実現に向けて動き出す。

「ですが、まずはしっかりと基盤を整えて橋頭保を確保し半島を攻略し、明に向かうことが肝要です」

さらに唆す男がそこにいた。


大友家との会談。

「神の国をこの日乃本に作るために、南蛮と協力する必要があるのです」

「すでに、日乃本には八百万の神々がおわします。南蛮の神など必要ありません」

「何という思い上がり!」

「何という変節!」

「天罰が下りますぞ」

「天誅が下るでしょう」

大友宗麟はすでに切支丹大名であった。

耶蘇会に食い込まれていたのである。

こうして、九州北部攻略作戦が発動されることになるのである。

そのための毛利の懐柔でもあった。

既に、九州北部は草刈り場と化していたのであった。

大友家では、このところ宗麟がおかしな行動を行うために精神的離反が相次いでいる。

宗麟だけが、神の国に住んでいるのである。

家臣は住んでいなかったということであった。


島津家との会談。

「率直に申し上げて、大友征伐後には、島津家となりましょう」

「薩摩隼人を舐めてもらっては困ります。一兵卒に至るまで、覚悟をもって戦い抜きましょう」

「なるほど、しかし、九州南部の領有で何とか手を打てませんか?」

「なりません」

「種子島、屋久島、奄美大島、琉球の支配権を認めていただきたい」

「私ではなんとも言いかねます」

家久はよくやっていた。

「我々もただでよこせとは言いません、ですからこのサツマイモをお譲りしましょう、これなら、そちらでも育つはずです」

「薩摩芋?聞いたことが有りません」

「私がそうなづけたので」

家久は動揺した。なぜかとてつもない予感がこの芋にあったからだ。

「火山灰の大地でも収穫可能なのです。これを差し上げましょう。食べると甘かったでしょう?」

素晴らしい料理の中に、いたらしい。天ぷらにいたのである。

「これがあれば、民の飢えをかなり防ぐことができるのです」

しかし、ジャガイモは隠されていた。

もっと素晴らしい芋だからである。


「これを作れば、薩摩焼酎ができるでしょう」

あの恐ろしく強い酒であった。

「芋焼酎という訳です」


「一体何を!」

「ここまで教えたら、菱刈地方は我々が接収しますよ」

「勝手に人の土地を奪われるつもりか!」

「まあ、家に帰ったら、そういっていたとお伝えください。我々の決定はすでに決定事項です。変更はない。戦場にてお会いしましょうぞ」

「ク!」

鬼島津が簡単に言うことを聴くはずがないことは織り込み済みである。


宴会は、実は次の日も行われていた。会談はその次の日から行われていたのだが。


昼には、鹿肉のステーキという物が出された。

この日の昼食は、西洋料理だった。

勿論鹿肉などとは真っ赤な嘘である。

牛を食っているのだが皆が牛の味を知らないので簡単に騙せるのである。

しかし、鹿肉がこのような味を出せるのか!多くの者が驚嘆した。無理である。鹿は鹿でしかないのである。


そして、今日の食器は、磁器の皿とスプーン、フォーク、ナイフで食べるという難行にチャレンジだった。恐ろしく美味い、ステーキなるもの、そして、オニオンスープ、パンとこれが西洋?料理なのかは別として今まで食べたものの中でも忘れられないものであった。

この日の為に、南蛮からワインも輸入されていた。


フィリピンまで行けばワインは買うことができた。

そこは南蛮の勢力下である。


この宴会に来た皆にお土産が包まれた。

地元で宣伝してもらうための宣材である。

皆が、それぞれの思惑や不安を抱えて、家路につくのであった。



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