第28話 勝竜寺城の戦い
028 勝竜寺城の戦い
恐るべき軍団が淀川を挟みながら上流の宇治川を目指して進軍する。
5万の大軍である。そして、大和方面からも1万の軍が京へ向けて北進してくる。
その交差点こそ、勝竜寺城である。
もともとが、小さい城であり、立て籠もるには向いていない。
野戦するには、それなりの兵力が必要なのだが、足利連合軍には動揺が広がっていた。
そもそも、この小城まで出てくる間に、本願寺から襲撃を受けていた。
巧みに鉄砲を使い、撃っては逃げるを繰り返す一向宗部隊。寺に逃げ込めば恐るべき銃撃を受ける。こうして進軍速度がずっと落ちた。兵糧の輸送も心配だ。
さらに、金鵄八咫烏城の陥落。たった1日であの巨大城が陥落してしまった。
彼らは、軍団を城に入れて戦う。あるいは、重當が攻めてこないかもしれない。などと自分たちに都合よく予想し解釈していた。
確かに、星形稜郭にこもれば、非常に手堅く戦えるはずだった。
それが、脆くも崩れ去ったのである。このままでは、糧道すら、本願寺に襲撃されておぼつかない。
さらに、六角氏の恐れる伊勢の北畠と伊賀甲賀の兵団が近江に向けて進撃を開始したという情報が流れてきた。勿論情報戦をもっとも得意とする参謀本部の作戦の一環である。
もともと、ゲリラ戦を得意とする六角氏は帰り支度の準備に入らざるを得ない。
本当に得意かどうかは、今となっては不明である。彼らの行うゲリラ戦には、伊賀甲賀の協力なくしては成り立たないからである。
今山中に隠れれば悉く狩り出されることになるだろう。
そこに来て、織田軍団が近江に侵攻を開始するという情報が流れてくる。
こうなると、浅井は勿論、朝倉も帰り道がどうなるかとても不安になるというものである。
すでに、この状態では、足利連合軍が3万といっても烏合の衆化しているといっても過言ではなかった。
勝竜寺城の周囲に二重三重に軍勢取り巻き始める。
彼らは、すぐに直接戦闘を行わない。まずは敵の突進を止めるための土木作業から始める。
この時、突撃すると、銃の一斉射撃に身をさらすことになる。
実際に、足利側の武将が数人、不帰の人となった。
完全に、何もないはずの場所から射撃を受ける恐怖は並大抵ではない。
突進を止める柵が完成すると、砲台の場所を作り始める。
それと同時に、バリスタの製作も始まる。このバリスタは組み立て式で部品を牛で運び現地で組み立てる。
大砲も牛が引いてやってくる。
そして、それらの準備が終わると、警備兵を残して宴会を始めるのである。
大砲は、だいたい城を標的にしている。
戦が始まれば一方的に大砲とバリスタで攻め立てるだけである。
突撃してくる兵達には、猛烈な銃撃を加え、対人地雷を爆発させるだけでほぼ戦いは最終局面へと向かう。逃げる兵には、騎馬隊が突撃し、後方から踏み潰していく。
仮に城から出てこない、兵士が攻撃してこない場合、砲撃を何日でも加える。
これは、まだ試されたことはない戦法。
さく裂弾頭であるため、かなりの殺傷能力を持っている。
「これでこの城を攻撃するのは、2度目ということか」
遠くから城を眺める位置に彼らはいる。
「今回は、義信の部隊の活躍に期待する」
彼らは、武田の赤備えである。故あって、この男の、子となった。
そして、彼らは、大型馬の乗り手となって復活した。
「
「そうだな、山中もうまくなじめるといいが」
「そうですな」鉄砲を使わぬ者はだいたいが大型馬を見ると騎馬武者を目指す。
明らかに、日本馬よりも恰好がよいからである。
今回は、前田(慶次郎)率いる騎馬隊と赤備えの騎馬隊で1000も居る。
繁殖がやっと軌道に乗ってきたのである。
真田幸隆は、この異様な軍隊の戦いに初めて触れて、自分の考えが間違いなかったことを確信する。
今や、次男も伴って、やってきた。繁栄するためには、主家を変える判断すら冷徹に計算する。それが真田の生きる道であった。
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