第18話 パールハーバー事件

018 パールハーバー事件


1569年(永禄13年)、紀伊下津港沖に、英国私掠船免状を所持した英国籍?軍艦が来航した。


「この港がパールハーバーだろう。すぐに我らに、採取させろ」

軍船の船長、フランチェスコ・ドレイク艦長が怒鳴った。


「そんな無茶なことを、ここは、ジャパンの戦国大名の鈴木王がいるのです」と英国造船技師。

「貴様、我等は、私掠船であることを知らんのか」とドレイク艦長。

「閣下、しかし鈴木王の軍勢はすでに万はいます。そんなものと戦うべきではありません」

「ここにいるわけではないだろう」

「とにかく、お待ちください。事情を知る鈴木王の家来がもうすぐきます、それに、ここで真珠を採っているところを見たことはありません」

「そうか、ここがパールハーバーだとおもったが、別の場所にかくしているのだな、そいつを締め上げて、吐かせてやる」

「閣下、サー重當は、尋常の人間ではありません。英国に不幸をもたらすかもしれません、軽挙妄動を控えられた方がよいかと、それに、私掠はスペインに対してでしょう」と案外まともなことをいうのであった。


「細かいことを気にするな、奪ったパールを女王に贈れば、私もサーの称号を得ることができるだろう」それぐらい、真球の真珠は価値があったのである。というかあり過ぎたゆえに、このような問題が発生しているのである。


砂浜に陣屋が設けられ、会見場となる。


ジャパンの人間は基本的に猿のように小さいと思われていたが、目の前に現れた男は、大きかった。

「おい、パールハーバーはどこにある」といきなり恫喝から入るドレイク。

「おい、パールハーバーはオアフ島に決まっているだろう」日本人は見事な英語で切り返した。

このころ、パールハーバーとよばれていたかは不明だ。

「ここが、パールハーバーではないのか」

「有るかもしれんが、少なくともパールハーバーとよばれているかは知らんな」


「教えた方が身のためだぞ」

「聴かん方が身のためだぞ」

ドレイクが腰のサーベルをたたく。

男は、腰の日本刀、村正をたたく。


「俺たちを舐めてるのか?」

「俺たち?」


「戦艦で、この城を焼き払ってもいいのだぞ」

「はは、これは私の城ではないぞ、それにそうしてくれれば、貴様の船を撃沈する理由ができる」


「後悔することになるぞ」

「後悔をしたいのか」口で負けるような男ではない。


ドレイクは床几から立ち上がった。

男も立ち上がる。

「よ~し、戦闘準備だ」

「無事に帰れるとでも思っているのか」


ドレイクの部下が、拳銃(火打ち石式)を取り出す。

男が、なんの予備動作もなく、すすっと前に動く。抜き打ちにその男の手を切り飛ばす。

返す刀で縦に真っ二つに切り裂く。叫ぶ間もなく絶命する船員。辺りはやはり血まみれになる。接待しておけといった男の姿は跡形もなくなっていた。


「え!」ドレイク達は固まった。

このころの男は、剣法の修行に打ち込んでいた。

そして、いま見せた技は、新陰流の浮舟という技であった。


「ここで切り殺しても、我々の力を見せることにはなるまいて、さあ、戦艦同士の決戦をしようではないか」男は言い放った。



こうして、各々が戦艦に乗り込むことになるのだが、すでに、日本にも当然あったのである。

しかも、大砲すら積んでいた。

ゴールデンハイド号が素早い動きを行う。

しかし、日本軍艦もそれとほぼ同様の動きを行う。

大砲の射程は同じ程度だった。

しかし、鉄砲の射程は段違いだった。

しかも、腕も段違いだった。

ゴールデンハイド号の戦闘員が次々と戦死していく。

「このままでは、まずい、白兵戦へ持ち込め」ドレイクが命令する。

同行戦に持ちこもうと並びかけるゴールデンハイド号。しかし、日本船から、次々と何かが投げ込まれる。

そして、それは爆発する。

柄付き手りゅう弾だった。

船上は阿鼻叫喚に包まれる。


白兵戦は圧倒的に海兵隊の方が強かった。

アッと言う間にドレイクは降伏させられる。


「海賊がとらえられれば、どうなるかは決まっていたな」男は言った。

それは、縛り首である。

マストにつらさげられるのだ。


「残念だよ、君はきっとやる男だと思っていたのだがね」

「待ってくれ!私の体を買い取らせてくれ」

「ほう」


男の目に興味の色が浮かびあがった。

「いくらだ?」

この男は、資本主義者なのだ。


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