完璧な世界構築

しゃむ猫

第1話 環境不適合

子供は生まれた瞬間親の操り人形になる。優しい親でも毒のような親でも。僕は基本的に「優秀」と呼ばれる部類だったのかもしれない。

○○をやれ、そう言われれば大体は出来た。そして才能を持つ人間は評価される。


しかし、それには「環境」が大事だ。


僕の家族は外から見れば一般的な平和な家族だ。

しかしその裏には機嫌が悪くなるとすぐ暴力的になる父親がいた。幼少期から親の機嫌を見て育ってきた僕は自分の才能に蓋をするしか無かった。


家の外でも平均的なこの世界はどうやら僕には合わないようだ。作文で事実を書こうとしてもその答えは求められていない。どのようにすればいいかなんて僕が言ったところで何も変わらない。そして誰か1人が何かをしても、この世界は何も変わらず過ぎていく。


「自殺はいけないこと」

「死ぬなんて産んでもらった感謝がーーー」


そんなに自ら命を絶つことは許されないのか?

僕は死にたくなんてない。ただ、この世界は僕には合わない。僕は消えたい。無になりたい。


自分の人生という舞台を自らの手で終わらせる。そんな、美しいことは無いだろう。これもひとつの選択肢だと思う。だけどこの感性は誰にも理解されない。


親の手によって平均化された人間なんて無価値では無いか。僕は最低限の荷物を持って家を出た。



昔から、環境に合わないと感じていた僕はよく言えば好奇心、探究心が強かった。辛く苦しいこの世界から違う世界に行きたくて、一般的に呼ばれる「自殺行為」とよばれるものをくりかえした。


1番辛いと呼ばれる溺死は息ができない中、時間がかかり息苦しさが今生きていることに対しての息苦しさに少し似ていた。窒息死は息ができるはずの世界で息が出来ない状態にする「家庭」と少し似ていると感じた。刃物はこの塞がった肉体はこんなもので死を迎えることが出来る自分の安価さに呆れ、やめた。


僕は何も考えずに近くの橋に向かう飛び降りという1番形が残らないようなものだと消える事ができるのではないか。




僕が橋に着くと、そこには既に先客がいた。





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完璧な世界構築 しゃむ猫 @siamneko96

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