純情な感情
「ねぇ! サユリ、サユリ〜!」
「何よ朝っぱらから? うるさいわね」
「ねぇ! 情って何?」
「はぁ? えらい薮からスティックね」
「……サユリ?」
「コッ、コホン! 今のは忘れてちょうだい」
「ねぇねぇ、情っていったい何だと思う?」
「はぁ? だから順を追って話しなさいよ」
「うん。あのね、愛情から愛が消えると情が残るでしょ?」
「そうね」
「友情から友が去っても情が残るじゃない」
「まぁ、そうね」
「何となく心みたいな感じ? かな〜って思ったんだけど」
「近からず遠からずよね」
「でも、心がついて心情になるならそれもまた違うかなって!」
「あ〜、そういうこと」
「ねぇ、情ってなんだろ?」
「そうね〜、情は情けとも読むわよね」
「あっ! 人のためにならないたとえだね!」
「それたぶん違う意味だと思うけど、まぁ、思いやる気持ちみたいな感じよね」
「情は思いやりってこと?」
「う〜ん、でも、思いやりだけじゃなくて苦しいときとか怒ったときにそれが顔に出ると表情になるわけでしょ?」
「そうだね、苦情や激情とも言うしね」
「だから思いやりに限らず、気持ち、そのものじゃないかしら?」
「情は気持ち? ってこと?」
「そうね、同じ気持ちになるのが同情でしょ?」
「あ〜、なるほどね」
「気持ち良いとか悪いとかが感情なわけだし」
「ほんとだ! さっすがサユリだね!」
「でも、それだとよく分からないことがあるのよね」
「え? 何が? サユリにも分からないことがあるの?」
「情が気持ちなら、情報って気持ちを伝えることじゃない? でも、気持ちを伝えるというよりはありのままの事実を伝えるような意味の感じがするのよね」
「そうだね〜、確かに」
「その情報を伝える媒体が言葉だから、結局、言葉はその情報を発信する人が、見たこと聞いたこと感じたことだから、やっぱり気持ちってことで良いのかしら?」
「でも、気持ちのこもってない情報もあるよ? ただのデータとか」
「でも、そのデータから何かの知識が得られるから情報なのよ? 意味がなければただのノイズでしかないわ」
「なるほどね〜。あと、心ない報道とかも結構ある気がするけどあれも情報なのかな?」
「やっぱり思いやりだけじゃなくて気持ち的な意味なら、良い気持ちを伝えるだけじゃない報道もあるかもしれないわね。まぁ、悪気はないかもだけど」
「わたしは情にはいつも思いやりがあって欲しいなぁ〜」
「良いわねそのピュアな気持ち、まさに純情ね」
「ねぇサユリ〜、だからお情けちょうだい?」
「前言撤回。思いっきり私情じゃない」
「いい加減にホワイト?」
「貴様、トゥースを食いしばれ!」
「きゃ〜ん♡ 言わぬがフラワー」
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