第60話 対等な立場


 私の姉、結奈。いつも私を守ってくれた。常に味方で、誰よりも私のそばにいてくれた人。そんな彼女は誰よりも気高い、誰よりも志の高い、そんな自慢の姉。でも、私はぶっ壊した。そんなのどうでも良かった。姉だろうが関係ない。私を愛してくれる人。私に愛を持って接してくれる人。だからこそ、私は彼女を愛している。たとえ、他の4人がなんと言おうとも、それだけは譲らない。そう断言できる。だからこそ、何度でも言おう。私は、あなたを愛していると。何度でも誓おう。私はあなたを愛すると。



私は姉と腹を割って話した。思えば、いつも守ってもらう立場だった。でも、これからは違う。守り、守られる。愛し、愛される。与えられるだけじゃない。与え、与えられる、そんな対等な立場。でも、それは心地のいい響きだった。


 「それじゃあ、帰ろっか」


 「あぁ、もう。結奈、涙の跡ついてる」


 「ホント?どこどこ?」


2人して、泣きながらキスをした。愛していると、愛すると、そう誓うキス。他の誰よりも、愛を向けてくれた人。私の愛しい人。あぁ、これが本当の愛なんだ。私は初めて「愛」というものを実感したのだった。


 


 「他にどこか行かなくていいの?」


 「でも、もう遅い時間だし」


 「いいじゃん。折角のデートだもん」


 「じゃあ、行こっ」


手を繋ぎながら、歩き出す私たち。それは姉妹として、守る立場と守られる立場としてではなく、愛し合う恋人としての対等な立場。



 

 「へぇ〜。こんな場所があったんだ」


結奈が連れてってくれたのは、少し小高い丘になっている公園。隠れデートスポットらしく、割と都会な我が家の近所でも綺麗に星が見える。


 「綺麗ね。ホントに」


 「うん。ホント」


いつもより、口数は少なかった。それでも、そこには確かに繋がった想いがある。そう思うだけで十分だった。


 

 

 「はぁ。私が受験生じゃなければ、もっとイチャイチャできるんだけど」


 「しょうがないよ。でも、ちょっと寂しいね」


 「そうね。でも、きっと大丈夫よ」


 「そうだね」コテン


 「薫?」


 「もうちょっと、こうさせて」


 「結局甘えん坊なのね」


 「むぅ。前借りしてるだけだもん。受験勉強で忙しくて、結奈が甘える前に借りただけだもん」


 「そうね。これでいつでも甘えられるわ」


 「ふふっ。いつでもお待ちしてます!」



そうして、2人は帰路に着く。そこに言葉はいらない。ただ、繋いだ手と繋いだ心。それさえあれば。




 「あっ、ヤバい。目、腫れてるわ」


 「あっ、そうだった。冷やさないと」


 「そこのコンビニで何か冷やすものでも買いましょう」


 「あははっ。もう、すっかり忘れてたね」


最後は笑顔で、GW中のデートを締め括った私だった。



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昨日、アップするのを忘れていました。なので、本日二話アップします。楽しみにして下さった方には申し訳ありません。次話はいつも通り、19:00にアップします。

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