第43話 婚約者って?


 「それじゃあ、先生。ありがとうございました」


 「いいのよ、これくらい。今日はゆっくり休んでね。また明日」


 「はい。ありがとうございました」


昼頃には終わったはずなのに、帰った時には薄暗くなっていた。


 「ただいm、ゴフッ」


 「お姉さま。おかえりなさい!」


 「だから、結愛。飛び込んでくるのはやめてって」


 「だって、お姉さま。全然帰ってきてくれなくて。結奈ねぇは帰ってきたのに、一緒じゃないし」


 「そっか。ごめんね、結愛。心配かけちゃって」


 「いえ、お姉さまが無事ならそれでいいんです」


 「うん。ありがとう、結愛。お姉ちゃんは?」


 「それが、帰ってきてすぐに自分の部屋に行っちゃって。なぜか、一度も出てこないの。帰りも一緒じゃなかったし、何かあったの?」


 「うん、ちょっとね。僕が話しかけてみるよ」


 「分かりました」


 


 「ただいま」


 「おかえり〜、薫。ギュー」


 「うん、ただいま。ママ」


 「あれっ、いつも嫌がる薫ちゃんが素直」


 「うん、ちょっとね。色々あって、疲れちゃった」


 「もしかして、結奈となんかあった?」


 「う〜ん。後でちゃんと話すから、待っててくれないかな?」


 「そう。分かったわ」



 トントン


 「お姉ちゃん、いる?」


 「、、、、、」


 「お姉ちゃん。僕、もう怒ってないよ。お姉ちゃんがいつも僕を守ってくれてるって分かってるから」


 「、、、、、」


 「お姉ちゃん、、、。ごめんね。また来るね」


 「待って」


出てきたお姉ちゃんは髪はボサボサで、泣いていたらしく、目が腫れ、涙の跡がついていた。


 「お姉ちゃん!?」


 「薫、中、入って」


 「う、うん」


 「薫、薫、薫」ギュー


 「お、お姉ちゃん?」ギュー


 「ごめんね、ごめんね、薫。ごめんね」ギュー


 「いいよ、もう。お姉ちゃんが僕を守るためにやったって分かってるから」ギュー


 「うん。ごめんね。ごめんね」ギュー


 「もう泣かないで。僕は大丈夫だから」




 「みんな〜、ご飯よ〜」


ママの呼びかけでハッとした。周りを見渡すとお姉ちゃんの部屋だった。どうやら、お姉ちゃんを慰めながら、一緒に眠ってしまったらしい。


 「お姉ちゃん、起きて。ご飯だって」ユサユサ


 「う〜ん。あれ、薫?なんでここに、ってそうだったわ」


 「うん。ママが呼んでるから行こう。ご飯を食べたら、元気でるよ」


 「そうね。行きましょう」




 「っと、2人とも!?どうしたの?結奈なんて、髪の毛ボサボサじゃない」


 「うん。ちょっとね」


 「お姉さま、結奈ねぇ。何があったの、今日?」


 「そ、それは」


 「今日、帰りに薫を迎えに行ったら、薫の婚約者って言ってる子がいたわ。未来ちゃんも」


 「「ええっ」」


 「ちょちょっと、お姉ちゃん!?」


 「薫、これはもうあなただけの問題ではないわ。それに、このままじゃダメっていうのは分かるでしょ」


 「そ、それはそうだけど」


 「なら、今聞くべきよ。お母さんの反応を見ると、お母さんも知らないみたいね」


 「当たり前よ!知っていたら、猛反対してるわ!」


 「というと、知ってるのはお父さんだけか。しかも、その婚約者って言ってた子、女の子だった」


 「「ええっ」」


 「うん、朝、突然僕のところにやって来て、あなたの婚約者だって言い出したの」


 「そんな、、、お姉さまに婚約者なんて、、、」


 「でも、そんなの知らないし。知らない人と結婚なんかしたくないし」


 「そうよね。でも、婚約者だなんて。後でお父さんを締め上げましょ」


お父さん、南無

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る