第36話 やっぱり子供扱いしてるでしょ!?
「それじゃあ、体育館に移動して、立ち位置と最終確認をしましょう」
「はい。お姉さまももちろん一緒ですよっ」
「はいはい。じゃあ行こっか」
会議室での打ち合わせが終わり、実際の会場である体育館に行くことに。
「えへへ。お姉さまと一緒〜」
「ちょっと、結愛?本番は僕、いないからね」
「えぇ〜。結愛の晴れ姿をご覧に入れたいです〜」
「そうは言ってもね。在校生で生徒会でもない僕が行っても」
「あら、別に生徒会じゃない在校生が入学式にいちゃいけないなんてことないわよ」
「えっ、でも」
「うちの学校は入学式と始業式が違う日だし、別に在校生が入学式にいちゃいけないなんて決まりはないわ」
「じゃあ、ママと一緒に行こうかな。結愛の晴れ姿を見に」
「はいっ。是非!この不肖、小鳥遊結愛。必ずやお姉さまが満足できるスピーチをしてご覧に入れます!」
「ちょっと、結愛。気合が入りすぎて、変な口調になってるから」
「あっ、薫、結愛。来たわね」
「あっ、お姉ちゃん」「結奈ねぇ」
「まさか、姉妹で在校生代表と新入生代表をやるなんて思わなかったわ」
生徒会長である結奈は在校生代表として歓迎のスピーチをやるのだ。
「たしかに。家でできるよね」
「結奈ねぇ。今回は絶対に失敗できないわ。なんたって、お姉さまが見に来てくれるの」
「えっ、薫。入学式、見に来るの?」
「うん。結愛が来てって言ってくれたし」
「結愛、、、。よくやったわ!」
「でしょ〜」
「そうと決まれば、練習よ。結愛、行くわよ」
「はいはい。小鳥遊姉と小鳥遊妹。気合があるのはいいけど、まずは立ち位置の確認から始めるわよ」
「「は〜い」」
「あっ、薫ちゃんだ〜」
「澪さん、こんにちは!」
「じゃあ、結奈。リハーサル中、薫ちゃんは私が預かるから、安心してね!」
「微妙に安心できないんだけど」
「えぇ〜、大丈夫だよ。男どもを近づけさせないから」
「あなたにも不安を感じるのよ、最近」
「大丈夫、大丈夫」
「ほら、早く立ち位置確認するわよ。時間もないし」
「いい、薫。知らない人についてっちゃダメよ」
「子供じゃないってば!」
「は〜い、薫ちゃん。お姉ちゃんと妹ちゃんにバイバイしましょうね〜」
「だから、子供じゃないってば!もうっ!澪さんまで悪ノリしないで!」
「「「「怒った顔も可愛い〜」」」」
「もうっ。早くやらないとお姉ちゃんと結愛を置いて帰っちゃうからね!」
「結愛。早くやるわよ」
「結奈ねぇこそ。早くやるよ」
そんなこんなで、ようやく始まったリハーサル。お姉ちゃんと結愛を見守りながら、春のそよ風を感じつつ待つのでした。しかし、
「あの〜、澪さん。おろしてください」
「えぇ〜。いいじゃない、別に」
「いや、流石に膝の上は恥ずかしいので」
「今日だけだから。はぁ〜、スンスンスンスンス〜ハ〜ス〜ハ〜」
「ちょっと、澪さん!?お〜ろ〜し〜て〜。匂い嗅がないで〜」
「こらっ。暴れたら危ないでしょ。スンスン」
と、澪さんの膝の上で、匂いを嗅がれながら待つことになりましたとさ。
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