第34話 結愛とのデート?


 「お姉さまとデートですね!」


 「学校に行くだけじゃない?」


 「登校デートですよ!」


すでに4月に入った今日。僕は妹の結愛と一緒に高校に来ていた。成績トップで合格した結愛は入学式、代表としてスピーチをすることになっているのだ。



 

 「あれっ。薫ちゃんじゃない。久しぶりね!体調はどう?」


 「あっ、先生。元気ですよ」


 「それは良かったわ。でも、もっと保健室に来てもいいのよ。むしろ、来なさい!エアコンも効いてるから、快適よ」


 「お姉さま。この方は?」


 「あっ、結愛。長谷川先生だよ。保健の先生なんだ〜」


 「はじめまして。保健の長谷川渚です。薫ちゃんの妹さんなの?」


 「はじめまして。小鳥遊結愛です。今年から、この高校に通うことになりました。よろしくお願いします」


 「あら、ご丁寧にどうも。あなたも可愛いわね。ちょっとこっち来てくれない?」


 「?はい。良いですけど」


 ギューーーーーーー


 「ちょちょちょっと!?えっ、何?どういうこと?」ギュー


 「あ〜。ごめん、結愛。長谷川先生、抱きつき癖があるんだった」ギュー


 「ちょっと、薫ちゃん?渚先生でしょ。あと、抱きつき癖じゃないわ。可愛い子を愛でているだけよ」ギュー


 「お姉さま〜。助けてください」ギュー


 「渚先生。結愛はこれから入学式のスピーチ練習があるので、離してあげてください」ギュー


 「あら、そうなの?それなら、仕方ないわね」


 「あれっ。薫ちゃん?」


 「あっ、葵先生」


 「か〜お〜る〜ちゃ〜ん」


ギューーーーーーー


 「ちょっと、葵先生!?」ギュー


 「薫ちゃん。会いたかったわ!」スンスン


 「葵先生!?匂いを嗅がないで〜」スンスン


 「大丈夫よ!いい匂いだわ」


 「そういう問題じゃないですよ、もうっ。あと、結愛を連れてきました」


 「待っていたわ。あなたが結愛さんね。今日はよろしくね!」


 「はい。小鳥遊結愛です。よろしくお願いします!」


そう、葵先生は今年度、結愛のクラスの担任となることが決まった。僕の担任じゃなかったことで大層落ち込んでいたのだが、結愛にスピーチを頼む電話をした時、たまたま応答したのが僕だった。ちなみに、僕の担任は今年度も橘先生なのだが、葵先生がうっかり電話で喋ってしまい、春休み中にも関わらず、担任を知ってしまった。


 「じゃあ、まずは会議室で原稿と当日の流れを確認して、その後、体育館に行って、立ち位置とか確認しましょう」


 「分かりました。では、お姉さま。行きましょう!」


 「ええっ。僕も行くの?」


 「当たり前ですっ。結愛はお姉さまがいないとダメなんですっ」


 「そうよ。結愛ちゃんのためにも、ほらっ。一緒に行くわよ」


 「なんで、2人ともそんなに仲がいいの?初対面だよね?」


 「「お姉さま(薫ちゃん)を愛しているからよっ」」


 「ええっ」


 「じゃあ、長谷川先生。薫ちゃんは貰っていくわ」


 「葵先生、そんな殺生な!」


という訳で、結愛のスピーチ練習に付き合うことになった。





(おまけ)


「聞いてよ、薫ちゃん!穂乃果ったら、物凄い自慢してきて!ちょームカつくの!」


「何かあったんですか?」


「穂乃果が「薫ちゃんの担任は今年度も私だわ!やったー!」って自慢してきやがったのよ。ほんと、何が「ねぇねぇ悔しい?」よ!」


「えっ、僕の担任の先生、今年も橘先生なんですか?」


「あっ、あ〜〜。言っちゃダメだった。ごめん、薫ちゃん。今の聞かなかったことに」


Oh Jesus






おまけで橘先生の本名出しちゃった

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