第33話 姉vs姉の親友vs母


 ピンポーン


 「あっ、来たわね」


 「いらっしゃい、澪」


 「お邪魔します」


 「あれ、澪さん?どうしたの?」


 「こんにちは、薫ちゃん。今日は結奈と受験勉強しようと思って」


 「あっ、そうだったの。じゃあお邪魔しちゃいけないね」


 「いいのよ、少しくらい。一緒に遊びましょ。結奈、いいわよね?」


 「いいけど。距離近くない?」


 「そんなことないわ」

 

春休みも中盤に差し掛かった今日、お姉ちゃんの親友澪さんが遊びに来た。




 「薫ちゃん。私のこと、好き?」


 「えっ。急にどうしたの?」


 「前の続きよ」


 「あぁ。質問大会ね」


 「ちょっと、澪。質問大会って何よ?」


 「前に結奈が薫ちゃんを私に預けたじゃない?その時に仲を深めるために、質問をしあったのよ」


 「そんな事してたの!?」


 「それで薫ちゃん。私のこと好き?」


 「うん。好きだよ」


 「ちょっと薫!?」


 「えっ。何、お姉ちゃん?」


 「えへへ〜。好きなんだ、私のこと」


 「み〜お〜」ゴゴゴ


 「お姉ちゃんもママもお父さんも結愛もみんな好き」


 「あっ、そういう、、、ガクッ」


 「そうよね。お姉ちゃんのことが1番好きよね?」


 「えぇ〜。結愛もママも好きだし。みんな1番じゃダメ?」


 「ダメよ!お姉ちゃんが1番よね?」


 「うんっ。お姉ちゃんも1番だよ!」


 「お姉ちゃん「も」じゃないでしょ。お姉ちゃん「が」でしょ?」


 「はいはい、2人とも。勉強はどうしたのかしら?」


 「お、お母さん」


 「薫ちゃんは没収です。ちゃんと勉強しなきゃダメよ。ね〜、薫ちゃん」


 「そうだね。邪魔しちゃ悪いし、出てくね」


 「全然、邪魔じゃないよ。むしろ、いてくれた方がはかどるから」


 「ダメです。ちゃんと勉強しなさい。あと、薫ちゃんの1番はママだから」


 「お母さん?1番はこの頼れるお姉ちゃんですー。異論は認めません!」


 「あ〜ら、何言ってるのかしらこの子は。そんなこと言ってると、今日の夕食はあなたが嫌いなトマト尽くしにしてもいいのよ」


 「それだけはやめて!」


 「とにかく、2人とも。勉強しなきゃダメだよ。お姉ちゃん。澪さん。頑張ってね!」


 「うん!お姉ちゃん、頑張るわ!」


 「うん!薫ちゃん。私、頑張る!」


 「さぁ、薫ちゃん。ママと遊びましょうねぇ」


 「うん、バイバーイ」




 「ねぇ、結奈。薫ちゃん、私にくれない?」


 「ダメに決まってるでしょ。そんなことより、勉強しないと。薫に幻滅されるわ」


 「そんなぁーーーー。でも、幻滅されるのはヤダから、勉強しますか」


澪さんが家に来てから、はや1時間。ようやく、2人の受験生は勉強し始めましたとさ。




 「薫ちゃん。今日は結愛もいないし、ママとおねんねしましょ」


 「えぇ。僕子どもじゃないよ」


 「はーい。ママとおねんねよ。ギュー」


 「ちょっとママ。ぐるじい」


薫は母のその豊満な胸に挟まれ、眠るどころじゃなくなっているのでした。


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