第27話 春休みの計画+間話(高校1年生最終日)



 結愛の合格発表から数日後。僕たちも春休みに入った。


 「今年はみんなで旅行に行けるわね」


 「そうね。今まで3年間、私と薫、そして結愛と受験だったもんね」


 「どこか遠出しようよ〜」


 「パパの都合があえばね」


 「パパなんて放っておけばいいじゃん」


相変わらず、我が家の父は最弱のようです。


 「そんなこと言わないの。結愛のためにも働いてくれているんだから」


 「は〜い」


 「薫はどこか行きたいところ、ある?」


 「うーん、温泉とかどうかな?」


 「いいわね。薫も女湯に入れるようになったし」


 「あっ、やっぱり温泉は無しで」


 「そうね。ここから行ける温泉っていうと、伊豆・箱根か草津かってとこかしら」


 「私は伊豆がいいなぁ。美味しいお魚が食べたい!」


 「あれっ。温泉確定!?」


と、久々に受験生がいない我が家、、、。うん?


 「お姉ちゃん、受験生だよね?」


 「大丈夫よ。模試もA判定しか取ってないし。推薦も貰えそうだし。合間に勉強もするし」


 「さっすが結奈ねぇ」


そんなこんなでワイワイ、春休みの旅行先について議論していくのでした。




『間話』

薫、高校1年生最終日


 「とうとう、この日が来てしまった」

 「なんてことなの。悪夢の日が〜」

 「今のうちに祈っておかなきゃ」


と様々なことを口にする女子たち。そう、彼女たちは1年間、薫と同じクラスとなり、TSしてからは薫ちゃんを守ろう委員会に入って、薫を守り続けてきた歴戦の猛者たち。ついでに言うと、いつも薫にべったりして、触り、匂いを嗅ぎ、抱きついていた人たちである。そして、悲しみに暮れている人がもう一人。


 「うぇーん。薫ちゃん。来年度も私のクラスに入って〜」


と嘘泣きまでしているのは1年間、薫の担任だった橘先生。


 「いや、僕は決められないし。というか、ホームルームの時間過ぎてますよ!?」


 「いやよ。薫ちゃんが私のクラスじゃなくなるなんで。それなら、ホームルームをせずに時間稼ぎよ」


もう、訳が分からないことまで言い出している。困った先生であるが、1年間お世話になって、TSなんて前代未聞の事態にも柔軟に対処してくれた先生だ。いまいち、批判しずらい。


 「ちょっと〜。橘先生。他のクラスはもうホームルーム終わってますよ。早く終わって下さい」


 「いやよ。私は薫ちゃんとずっと同じクラスなのよ」


 「何、訳のわからないこと言ってんですか。もう、重要事項は終わってるようね。みんなかいさ〜ん」


とこうして突っ込んでくれた先生は橘先生の同期葵先生。途中からの短い時間だったけど、体育を教わった先生。


 「ちょっと葵!?何勝手に終わらせてるの?あぁ、薫ちゃんとの蜜月の時間が」


 「はいはい。まぁ、来年度は私のクラスって可能性もあるし。来年度に期待ね、これは」


 「何言ってるの!?来年度も薫ちゃんは私のクラスよ!他の先生なんて許さないわ!」


 「私たちに決める権限なんてないでしょ。でも、薫ちゃんは私のクラスがいいよね〜」


 「いや、私のクラスが最高よ。そうよね、薫ちゃん!?」


 「こんなメンドくさい教師より私の方がいいよね?」


 「こんなガチムチ教師より私の方がいいよね?」


 「何ですって!?」「何よ!?」


と、先生同士、大の大人が喧嘩を始めてしまった。生徒たちもポカーンとしている。


 「ねぇ」「ねぇ」


 「「薫ちゃんはどっちのクラスがいいの?」」






ごめんなさい。更新忘れてました。

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