第26話 末っ子はやっぱり甘え上手?



 誹謗中傷事件から数ヶ月後


 「「「結愛、おめでとう!」」」


我が家に響くクラッカーの破裂音。そう、今日は僕の妹結愛が僕達の通う高校に合格した日だ。


 「ありがとう、お姉さま、ママ、結奈ねぇ」


 「まぁ、結愛なら合格したと思ったけどね」


 「お姉さまは結愛を信頼していて下さったのですね。とても、嬉しいです!」スリスリ


 「ちょっと、結愛。離れてよ」スリスリ


 「まぁ、今日くらいいいんじゃない」スリスリ


 「いつも止めてくる結奈ねぇが優しい」


 「失礼ね。私はいつも優しいわ」


 「そうよ。頼れるお姉ちゃんじゃない。同じ高校の最上級生なんだから、来年度はいっぱいお世話になるでしょ」


 「え〜。私はお姉さまにお世話されたい。というか、お世話したい」


 「僕、子どもじゃないんだけど」


 「とりあえず、乾杯しましょう」


 「お母さんの言う通りね。さぁ、結愛」


 「えっ、私!?まぁ、いいか。みんな、ありがとー。カンパーイ」


 「「「カンパーイ」」」


こうして、僕らの妹結愛は来年度、同じ高校に進学することになりました。




 その夜


 トントントン


 「お姉さま、起きてる?」


 「結愛?どうしたの?」


 「ちょっと話があるから、開けてくれないかな?」


 「いいけど」


 ガチャ


 「まだバリケードあるの?」


 「だって無いと侵入してくるでしょ」


 「まぁ、そうだけど。ところで、お姉さま。私、個人的にお姉さまから合格のご褒美が欲しいのですけど」


 「いいよ。僕にできることなら何でもするわ」


 「じゃあ、今日だけでいいので、、、。その、、、一緒に寝てくれませんか?」


そう頼む結愛はいつもより大人っぽく見えた。僕の後をいつもくっついて歩いていた結愛。あっという間に成長して大人になっていたのかと感心する。思えば、去年は受験生なのにたくさん心配をかけてしまった。


 「いいよ。今日だけね」


 「ホント!?わーい!」


大人っぽく見せた後は子供っぽい喜び方を見せる。やっぱりまだまだ子供なのかなと感じる。


 「結愛も大きくなったね」


 「お姉さま、お年寄りっぽいですよ」


 「でも、知らないうちに大人になっててびっくりしたよ」


 「ホントですか?嬉しいです」


キャッキャッとはしゃぐ結愛。


 「お姉さま。もう一つだけお願いしてもいいですか?」


 「な〜に?もう一つだけだよ」


 「お姉さまに頭を撫ででほしいんです。ずっと頑張ってたから、、、その、、、頑張ったねって、偉いねって。その、、、いいですか?」


 「うん、それくらいなら」


 「結愛は頑張ったね。僕がTSして、色々と迷惑かけたのに。偉かったね」ナデナデ


 「はい。私、、、頑張ったんですよ。お姉さま達と一緒に登校して、お弁当食べて、一緒に帰るために、、、。私、頑張ったんです、、、グスッ」


 「そうだね。結愛はいい子だね。いっぱいいっぱい頑張って、やりたいことも我慢して、いっぱい勉強してたもんね。頑張ったよ、ホントに。自慢の妹だ」


 「グスッ、、、お姉さま。うわぁ~ん」


とうとう結愛は僕の胸の中で泣いてしまった。それだけ、頑張って、悩んでたんだな。


それから、しばらく泣いていた僕の最愛の妹はいつの間にか僕の胸の中で静かに眠っていた。

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