第21話 姉の怒り(澪視点)



 「薫、、、」


 あまりにも酷い言葉の数々。いきなりTSしても、気丈に振る舞い続け、家族に心配をかけまいとしていた最愛の妹。その頑張り続けていた妹に待っていた心無い言葉の数々。


 「ふざけるな」


 「どうしたの、結奈?」


 「ふざけるなぁ」




昼休み。生徒会室で親友の白川澪とともに昼食を取っていた生徒会長小鳥遊結奈。常に努力し、笑顔でいて、妹バカの生徒会長。急にブツブツ言い出したと思ったら、長年の親友である澪すら聞いたことのない大声で怒声をあげていた。


 「ちょ、ちょっと結奈。何があったの?」


 「ふざけるなよ!!」バァン


結奈は親友が声をかけても止まらないほど、激怒していた。ついには机を叩いて怒声をあげた。


 「薫が何をしたっていうの?あの薫が、いつも優しくて、親切で、人のことを考えている薫が!!」


 「ちょっ、ちょっと結奈!」


 「許さない。私の妹を泣かせるなんて、絶対許さない!!」


 「ちょっと結奈!落ち着いて!!」


 「あっ。ごめん澪」


 「一体何があったの?薫ちゃん関係なのは分かったけど」


 「朝、薫と一緒に登校したら、下駄箱にこれが」


 「えっ」


そうして澪も誹謗中傷の数々が書かれた紙を目にする。


 「なにこれ!」


 「これのせいで薫は泣いてた。あの子は昔から自分のことより、私たちやみんなのことを優先してた。そんな優しい子が急に性別が変わって、混乱しているはずなのに、自分が1番辛いはずなのに、私たちに心配をかけまいと一切弱音を吐かず、頑張ってた。それなのに、、、。だからこそ私が守らなきゃいけなかったのに。こんな、、、。ちくしょう」


 「結奈、、、」


私の親友は涙を流しながら、私に事情を話した。


 「絶対に許さないわ。薫を泣かせる奴は絶対に許さない」


 「今、薫ちゃんは?」


 「早退したって連絡があったわ」


 「そう、、、」


 「ごめんね澪。あなたに当たるなんて」


 「いいのよ。親友じゃない、私たち」


 「うん。ごめんね、ごめんね、、、」


涙を流しながら、私に謝る親友は親友の最愛の妹にも謝っている気がした。そして、私はそんな親友にかける言葉が見つからなかった。




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