第19話 第一の関門?



 「やっと、女子の制服と体操服が来たわ」


 「ホント?ママ」


 「えぇ。制服は返さないとね。体育はまだなかったんだっけ?」


 「うん。まだないんだ。あっ、もしかして身体能力も下がっちゃったのかな」


 「大丈夫です、お姉さま。身体能力が落ちても、私がお守りしますから」


 「えっと、ありがとう、結愛」


 「はいっ。お姉さま」ギュー


 「ちょっと、結愛。薫を守るのは私よ。生徒会長権限をフル活用してでも守るわ」


 「いや、公私混合はダm」


 「そうよ。その意気だわ、結奈」


 「えぇー」


と話がずれている我が家ですが、ひとまず制服と体操服が届きました。



 

 「薫ちゃん。更衣室行こー」


 「えっ。僕男、、、じゃなくなったんだった。うん。一緒に行こ」


 「くそっ。体育の時だけは女子の邪魔が入らなかったのに」

 「本当だよな」


そう、うちの学校は体育が男女別で、雨じゃない限りグラウンドと体育館を男女交互に使うことになっている。だから、再び薫がTSしない限り男子は薫の運動姿を目にすることがほぼ出来ないのだ。




 「はーい。みんな集まって」


そして、体育の先生は薫ちゃんを守ろう委員会の葵先生。本名久保田葵。薫の担任橘先生と同期で、まだ20代の若い先生である。そして、生徒指導担当のため、朝や帰りは薫を守る護衛として努めている。この先生もまた美人であり、体育教師らしくキュと引き締まった身体をしていて人気が高い。のだが、

 

 「じゃあ今日はバレーボールです。みんなはまず、2人ペアでトスとレシーブの練習をしてね。薫ちゃんは女の子になって初めてだから、先生とね」


というように、あわよくば薫とペアになって運動しようと企んでいたのだ。今か今かと待ち続け、ようやく迎えた体育の時間。逃すわけがなかったのである。


 「えぇー。先生とかー。私が一緒になりたかった」

 「あら、私も薫ちゃんと一緒がよかったわ」

 「私だって」


と言い争いを始める始末。


 「みんな落ち着いて」


 「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」


 (あれ、僕の方が先生ぽくない?先生まで返事してたし)


 「みんな誘ってくれるのは嬉しいけど、今日は初めてだから先生とするよ。また誘ってね」ニコッ


 「「「「「「「「グハッ」」」」」」」」


 「えっ、ちょっとみんな?」


 「大丈夫です」

 「油断してたわ」

 「報われたわ」


とか言っているうちにバレーを始めて、どうにか無事終わったのでした。でも、


 「やっぱり身体能力落ちてた、、、ガクッ」

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