第16話 薫ちゃんを守ろう委員会vs男子 間話
「うーん、お姉ちゃんはどこに行っちゃったんだろう」
「大丈夫よ。ちょっと仕事があるって言ってたから」
「すみません。姉が迷惑をかけちゃって」
「気にしないで。親友の頼みだもの。それに、薫ちゃんは可愛いし、優しいし、柔らかいし。癒され要員ね」
昼休み。お姉ちゃんに言われた通り、生徒会室に向かった。というか、お姉ちゃんが迎えに来て、生徒会室まで送られた。生徒会室に着くやいなや、お姉ちゃんはどこかに行ってしまったけど、代わりにお姉ちゃんの親友白川澪先輩が遊んでくれることになった。白川先輩はお姉ちゃんに負けず劣らずの美人で、さらには生徒副会長を務める。お姉ちゃんとは親友と言い合う仲で、僕も以前遊んだことがあった。
「折角、久しぶりに会えたんだし、なんかしよっか?」
「そうですね。でも、何をしましょう?」
「そうね。質問大会なんてどうかしら?」
「質問大会ですか?」
「そう。私は結奈とは仲がいいけど、薫ちゃんのことはよく知らないし、反対に薫ちゃんも結奈の
ことは知ってても私のことは知らないでしょ。だから、お互いに質問をしあって仲良くなろーってこと」
「いいですね。白川先輩とは仲良くなりたいですし」
「あら、嬉しいわ。でも、白川先輩じゃなくて、澪さんでいいのよ」
「えっ、でも」
「澪さんね」
「み、澪さん」
「はい、オッケー。じゃあ私から質問ね。好きな人はいる?」
「えぇっ。いきなりハードですね」
「だって仲を深めるためだもの。いいでしょ」
「そうですね。・・・でも、好きなのは家族くらいで誰か好きな人はいません、というか思い浮かばなかったです。今でも男だった時みたいに考えてしまって、恋愛対象は女の子のままなんです」
「そうよね。(これは私にもチャンスが)」
そう、この先輩。何を隠そうドレズなのである。ガチレズである。結奈すらも知らない秘密で、当然薫も知らない。結奈に近づいたのも実は狙っていたからなのだ。
そんなことをしながら待っていると、姉が帰ってきた。
「あっ。お姉ちゃんおかえり〜」
「ただいま、薫。いい子にしてた?」
「もうっ。子供じゃないよ!」
「ごめんね。でも、膨れている顔も可愛い!」ギュー
「ちょちょっとお姉ちゃん。澪さんもいるのに」
「あら、澪さんだなんて随分仲良くなったのね。まあいいわ。澪もありがとう」
「いいのよ、別に。薫ちゃんと仲良くなれたし」
「ならいいわ。薫、もうすぐ昼休みが終わっちゃうから、クラスまで送るわ」
「うん、わかった」
「バイバイ、薫ちゃん」
「バイバイ、澪さん」
(ふふふ。なんて可愛いのかしら。私惚れちゃったかも)
と知らず知らずのうちに新たな危険人物が産まれていたのだが、それはまた別のお話。
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