第2話 東京調査隊
部屋には5人の男女が集められていた。神妙な面持ちの者、そわそわと落ち着かない者、考え事をしている者など様々だが部屋にはどこか重苦しい空気が漂っていた。
「いやぁ遅れてしまって大変申し訳ない、どうも、コロナ対策大臣の天王寺です」
ニコニコしながら部屋に入ってくると同時に男はせっかちに自己紹介した。
「そんなことよりこの状況を説明してよ」
彼の自己紹介に食いつくように女が声を上げた。
「あたし、東京の調査隊員に選ばれてここに呼ばれたんだけど5人しか来てないってなんなのよ」
「5人なんですよ、、、」
一呼吸おいて天王寺がボソッと呟いた。
「調査隊員に選ばれたのは5人です。あ、一般からは4人ね、海老沼くん、自己紹介を」
そう言われると黒縁メガネの男が一歩前に出た。
「調査隊の班長として、あなたたち一般選抜調査員と同行することになりました。警視庁捜査一課刑事の海老沼慎治です」
刑事という言葉を耳にして女は先程までの勢いをなくした。
「5人で足りるのか」
ガッシリとした体格の男が尋ねた。
「そうですね、その点も含めて任務の説明、、、の前に皆さんの自己紹介が済んでいませんでしたね」
周りの空気感を無視するかのように頭をかきながら天王寺が言った。
じゃあ、まずは俺から、と先程のガタイのいい男が名乗りを上げた。
「俺は桝田兼、52歳、普段は南区で消防士をやっている、よろしくな」
「消防士なんだ、頼りがいあるわ〜」
女はそうリアクションし、そのまま自分の紹介へと移った。
「あたしは千葉カレン、20歳、カレンでいいわ、普段はyoutubeとかで生活してるの。なんか映えそうな画が撮れそうだから応募してみたらまさか選ばれるなんてねぇ、よろしくね〜」
カレンは手慣れた感じでスムーズに自己紹介を終えた。
「えっと、鎌形秀斗です、18歳、高校生です、よろしくお願いします」
鎌型の声は震えていた。自己紹介も残すはあと一人となったがなかなか始まらない。
「ちょっといつまでも壁によっかかってないでアンタも自己紹介してよ」
カレンが頬を膨らませながら言った。
男はハッとする。自分の番だとようやく気づいたようだった。
「ああ、悪い。東海林康晴だ、よろしく」
「いや、名前だけじゃなくて年齢とか仕事とか言いなさいよ」
「歳は37、コンビニでアルバイトをしている」
それを聞いたカレンはあからさまに渋い顔をした。
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