第3話 今、何考えてる?
ある日。伊圭男は席から立ち上がり、凡子の横に立った。
「何?」
「…………」
いや、本当に喋らないな、この子。凡子はどうしようか迷っていると、普都男がどこからか湧いてきた。
「図書室? 連れて行ってやろうか?」
伊圭男は小さく頷き、小さく「ありがとう」と言った。蚊の鳴くような声とは、まさにこのことだ。凡子は目の前で起こったことが全く理解できなかった。
「え? なんで図書室行きたいって分かったの?」
「ん? 本持ってんじゃん」
確かに伊圭男は本を手にしていた。それだけで分かった普都男はエスパー使いか何かかと凡子は思った。
「よくわかったね」
「そんなの、普通だろ? 友達だし」
伊圭男は真顔で立っていた。さすがの凡子でもそれは否定のサインだと分かった。
それからというもの、ジェスチャーゲームにもならない「伊圭男の考えを当てようゲーム」が頻繁に発生した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます