4章 未知

(まさか…誰かが下手うって侵入を許した巨獣…なんてことはないよな?)


ゆっくりと首を『何か』の方へと向ける。

そろそろ日没が近いのもあってか、森の影に隠れてよく見えない。

距離はそこそこあるが、もし本当に巨獣なら気づかれたが最後瞬き一つの内に間合いに入られる。


(生憎、今武器は持ってねえ。いくら俺でも丸腰じゃ確実に死ぬ。くそっ…師匠に武器売って休みもらったときのツケがここで回ってきやがった…!)


すぐに逃げれる体勢でしばらく様子を見ていたが、特に動きはなかった。


(よ、よし…落ち着け俺、このままゆっくり距離を取って、無線で応援を呼ぶ。それでいいはずだ…)


クローがそう意を決して顔を上げた瞬間、暗闇の中の『何か』と眼が合ってしまった。


(…やばい、死ぬ!!!)


クローは死を覚悟して顔をひきつらせたが、幸い、『何か』に動きはなかった。


(気のせいか…?肝が冷えるぜ全く…ゆっくりだ、ゆっくり動くぞ…)


しかし、クローが恐る恐る上げた足は、後ろではなく、大股で前に出ていた。


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