3章 歓喜

青年は乱雑に無線機を手に取ると、ボサボサとした長めの白髪を掻きながら、気だるげにその内容を待った。


『…こちら本部。喜べクロー。久々の完全休暇だ。隣の部隊から応援が来た。今すぐ戻…』


「イヤッッッッッホー!!!!!」


恩師の通信を途中で切って、クローと呼ばれた青年は残り少ない力を振り絞って勢いよく飛び上がった。

つい先程まで死んでいた眼には本来の光が戻り、端には涙すら浮かんでいた。

周りに散らばっている補給食や仕事道具をバッグに詰めて、急いで帰還準備を整える。


(久しぶりのシャワー、久しぶりのマトモな飯、久しぶりのふかふかのベッド…)


そんなことを考えながら、本部兼自宅に向かう第一歩を踏み出したその時、空色の眼が視界の端で何かを捉えた。


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