第260話 1年次夏期集中訓練 2日目(9)
梅原教導官は、苦笑いしながら
「どうして、喜んでいるのかな?」
と問うので
「私の体格に、この胸は大きすぎます。
戦闘の邪魔なんです。
格闘術にも、剣を振るにも制限されて困っていたんです。
もう少し小さくしたいと思っていたんです。
それなのに、まだ大きくなってきているので」
と言うと、見崎教導官が
「大きいのも大変なんだね」
と言うと梅原教導官と照山さんに睨まれて、タジタジになりながらも
「神城さんは、元々摂取カロリーが少なくても身体が最適化されているから大丈夫だって聞いたよ。
だから、今の摂取量でも余裕があるから、余ったエネルギーが胸に行っているのかもしれないね。
だから、摂取カロリー量を変えないで、基礎運動量を少し増やして消費カロリーを大きくすれば、胸は痩せると思うよ」
と説明した。
私が「なるほど」と唸っていると、照山さんに
「ダイエットをしようと考えない方が良いよ。
無理なダイエットは、筋肉量が落ちるだけになるし、リバンドで太りやすくなるよ」
と忠告された。
「分かりました。無理の無い範囲で、運動量を増やす事にします」
と答えると、梅原教導官に
「まあ、無理をしないでね」
と言われた。
休憩後も、水中機動の訓練と水面の確認を行う訓練を行う。
広域探知と空間把握を水中に適応出来る様になると、水面の確認で間違う回数は劇的に減った。
あとは、数を熟す事でなんとかなりそうだ。
十分な手応えを得た所で、今日の水中訓練を終了した。
訓練着に着替え、濡れた水着を持って第二射撃場に向かう。
美智子さん達の進捗を確認するために、戸神さんに声を掛ける。
にこやかに笑いながら
「大変筋が良いですよ。
4人共、
と返ってきた。
なので、4人の様子を見る。
美智子さんは、水玉、火玉、水矢、火矢を順次撃っていた。
都さんは、火玉、風玉、火矢、風矢を順次撃っていた。
郁代さんは、火玉と火矢と土玉と土矢を順次撃っていた。
3人程順番に見ると、伊島さんが
「あの3人は、まだ自力で
と言った後、千明さんを指差し
「鳥栖さんなんだけど、今すぐにでも
と言う。
私が千明さんを見た結果
「え、なんで?」
と言う言葉が漏れた。
「凄いよね。彼女」
とドン引き状態の武井さんが言いながら近寄る。
「もう一度誘導をやって欲しいと言うから誘導をしたら、出来ちゃったんだよね。
その後は、ちょっとコツを掴むまで時間がかかったけど。
コツを掴んだ後は、あの状態」
と武井さんが、私が聞きたい事を言ってくれた。
「あれは、私より早いですね。
しかも、各工程を丁寧に
と私が言うと
「連射になると雑になる事が多いのに一切手抜きが無い。
しかも、毎回同じ量の魔力で発動出来ている。
これは素晴らしい才能です。
このまま連れて帰って直接指導したいと願う程です」
と伊島さんが返す。
「あげませんよ」
と言うと、伊島さんは
「それは分かっています」
と返す。
すると、武井さんが
「だからと言って、今度は貴陽学園に長期出張だとか、東海支局に移籍するとか言わないで下さいよ」
と釘を刺す。
「研究室を武井君と照山君に任せてしまいたいのだがね」
と伊島さんがため息交じりに言うと
「まだまだ、現役で居てくれないと困ります」
と照山さんが反論し
「そうです。
最低限、今抱えている課題を終わらせてからにしてください」
と武井さんも反論する。
伊島さんは
「ああ、アレか。アレは君達に任せるよ」
と言って笑っている。
武井さんと照山さんは、頭を抱えている。
「課題?」
と尋ねると、伊島さんは
「ああ、神城さんは気にしなくて良いよ。
私の研究室では、攻撃系
その研究テーマの一つに、超難度複合
実験では一部の高難度複合
実用レベルになると、中難度複合
だから、高難度複合
その事で、高難度複合
それがちょっと上手く行ってなくてね。
その関係の課題が、ちょこちょこっと上がっているんだ。
それを含めて、武井君と照山君なら十分解決出来ると思っているんだけどね」
と言うと、二人揃って
『無理です』
と返す。
伊島さん達から目を離し、千明さんの様子を見る。
千明さんは、光玉、光矢、風玉、風矢、火玉、火矢、地玉、地矢、水玉、水矢を順次撃っていた。
しかも、その速度が尋常じゃあ無かった。
一般的に
私のレーザー以外の最速弾速は、2,400m/s位と異常に高い数値をだしているが、世界最速の銃の弾速に比べると遅い。
そして、問題の千明さんの弾速なんだけど、光系は光速までは行ってないがかなり早い。
私でも、至近距離なら避けるのは難しい。
他の属性の弾速も、音速を位は出ていそうだ。
思いがけない才能だ。
ちなみに他の3人は、15m/sまでは出ていないと思う。
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