第242話 1年次夏期集中訓練 1日目(5)

 安藤さんは

「まずは、田中さんのデータを見ましょう」

 と言うと、モニターに美智子さんの魔力性質のデータが表示された。

 美智子さん達が、食い入る様に画面を見る。


 画面には、美智子さんの名前と各項目名と値が

 強化:9

 放出:2

 具現:15

 変化:19

 操作:5

 と表示された。


「田中さんの場合、変化と具現の数値が高いので、この系統の能力アビリティが習得し易いと言えます。

 逆に、放出系の能力アビリティの習得は難しいでしょう。

 また、強化も習得出来る可能性が高いと評せます。


 ただ、変化系の能力アビリティが不明な為、我々がオススメできる能力アビリティがありません」

 と美智子さんの説明を終えた。


「次に、都竹さんのデータを見てみましょう」

 と言うと、都さんのデータに切り替わった。

 強化:13

 放出:16

 具現:4

 変化:5

 操作:12

 と表示された。


「都竹さんの場合、放出・強化・操作が高いので、典型的な遠距離アタッカーの特徴が出ています。

 また、強化が高いので、身体強化を鍛える事で近接戦闘も熟せる様になるでしょう。

 では、次に土田さんのデータを見てみましょう」

 と言うと、郁代さんのデータに切り替わった。

 強化:7

 放出:2

 具現:16

 変化:13

 操作:12

 と表示された。


「土田さんの場合、優秀な具現化系能力者になれると思います。

 ただ強化が弱目の為、具現化系の攻撃能力は具現化した物質次第になる可能性も高いです」

 安藤さんの説明の途中で武井さんが

「具現化系の攻撃力は、どうしても強化系や放出系と比べて劣る。

 しかし、魔力を過剰に込める事で同程度の攻撃力を有する事は可能だ。

 だた、燃費が悪い事は理解しておいて覚えていて欲しい」

 と厳しい口調で言った後

「しかし、物を作ると言った場合は非常に活躍出来ます。

 魔道具作成の第一人者、羽佐田氏も同じ傾向でした」

 と安藤さんが補足をいれた。

 郁代さんは

「そうか。あんまり強く成れないんだ」

 と激しく落ち込んだ。


 私が

「宿泊棟のゴーレムも魔道具ですよ」

 と言うと

「えっ! そうなの?」

 と驚きの声を上げた。


 郁代さんは、週末の宿泊棟の訓練での休憩中にゴーレムを良くいじっている。

 そして

「いつか自分でも作って見たい」

 と言っていた。


「あのゴーレムは、羽佐田さんから教えて貰った物ですよ」

 と教えると

「じゃあ、私もゴーレムを作れる様になる?」

 と言うので

「努力次第で可能です」

 と答えると

「そうだ。巨大なゴーレムで相手を蹂躙すれば良いんだ」

 と嬉しそうに言う。

 伊島さんは相変わらずニコニコとしているが、武井さんと安藤さんと照山さんは微苦笑を浮かべている。


 戸神さんは

「道のりは大変ですけど、頑張りましょう」

 とエールを送っていた。


能力アビリティでの攻撃手段は限られるかもしれませが、技能スキルでの攻撃手段で十分強く成れますよ」

 と教えると

「じゃあ、強くなる事も諦めないで良いのね」

 と嬉しそうにしている。


「じゃあ、次は鳥栖さんのデータを見てみましょう」

 と安藤さんが言った事で、千明さんのデータに切り替わった。

 強化:6

 放出:16

 具現:15

 変化:2

 操作:11

 と表示された。


「鳥栖さんの場合は、放出系・具現化系両方に高い適正を持っています。

 なので状況に応じた使い方が出来ると思いますが、恐らく将来的には片方のみが高くなるとおもわれます。

 また、操作も高いので精密な操作が可能と思いますが、強化が低いので純粋な遠距離アタッカーよりかは威力が下がる事になるでしょう」

 と説明を終えたあと、美智子さん達を見渡したあと

「この数値は、あくまで現状の値であり、将来的には成長すると思われます。

 なので、訓練の参考にしてください」

 と言った。


 すると、美智子さんが手を上げ

「先程、ランクが上がっても数値は上がらないって言ってませんでしたか?」

 と声を上げると

「現状のランク制度と魔力の性質が、連動していないと言うだけです。

 だから、ランクと能力値が合っていない事も多々ありました。

 それに上位の者達は、100超えの者ばかりです。

 成長の条件が分かっていないだけで成長はします。


 なので、貴方達がその条件を見つけてくれる事を期待してます」 

 と笑顔で言ってくる。


 美智子さん達は、お互いに顔を見合わせ困惑している。

 そんな美智子さん達を置き去りにして

「さて、次は属性について説明します」

 と安藤さんが話を進める。


 美智子さん達も慌てて画面を見る。

 画面には大きな円が1個描かれている。


「まず最初に、属性の名称については暫定の物です。

 これは、従来の属性概念の方が分かりやすい為です。

 コレに変わる名称があれば、変わる可能性があると思って下さい。


 それでは最初に基本の4属性です」

 と言うと画面の円の頂点に地、右端点に火、底点に風、左端点に水と表示された。


「一般的に知られている4属性なので説明を省きます。

 次に複合属性です」

 と言うと画面の円に、新たな4属性が表示された。


 土と火の間の円弧中央上に金。

 火と風の間の円弧中央上に雷。

 風と水の間の円弧中央上に氷。

 水と土の間の円弧中央上に木。

 土と風を結ぶ線が描かれ、塵と表記された。

 火と水を結ぶ線が描かれ、命と表記された。

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