第238話 1年次夏期集中訓練 1日目(1)
「そっか、優ちゃん自身の訓練もあるんだ」
と都さんが呟くと、他の3人も納得した様だ。
「納得した様なので、訓練に行きますよ」
と言って立ち上がると
『え?』
と声が返ってきた。
時刻は6時20分位だ。
「何を呆けているのですか。
ここでの訓練開始時間は、6時30分ですよ。
さあ、立って」
と言って彼女達を追い立てる。
玄関に出ると山奈さんが待っていた。
「おはようございます」
と私が挨拶すると、美智子さん達も
『おはようございます』
と続けて挨拶をした。
「おはよう。
私は、
午前の能力測定を担当するから、よろしくな」
と軽く挨拶をした。
美智子さん達が自己紹介をしてから山奈さんに美智子さん達を任せ、寮の前で別れた。
私は病院の方に向かう。
まずは、
若桜さんの診察結果は大きな問題は無かった。
約9ヶ月で6cmも大きくなっているらしい。
体格からするとまだ痩せ過ぎらしいが、筋肉も付いているし体型も女性的になってきている。
身長以外は問題が無いとの事。
しかし、まだ伸びる余地があると言われたので希望がある。
140cmは超えたいな。
若桜さんの診察が終わった後は教導隊隊舎に行き。
伊坂さんに挨拶に行く。
今日は課長も居ると言うので、課長にも挨拶に行き夏期集中訓練の受け入れの感謝を告げる。
課長は
「隊の活性化にも繋がる面白い提案だったからな。
連れてきた4人の成長が楽しみだ。
それと神城が帰って来ると言う事で、研究所の方もなにやら力を入れていたぞ。
後で顔をだしてやってくれ」
と珍しく笑いながら話していた。
課長に挨拶後、第三射撃場の最下層の一角に設置された高エネルギー射撃室に向かう。
この高エネルギー射撃室は、
また、余波エネルギーを拡散・吸収装置等を設置した事でより安全性を確保した。
私の全力の放出系・具現化系の攻撃に耐えられる数少ない場所だ。
今回の夏期集中訓練時に使える様に事前に申請していた。
私が第三射撃場のある最下層に現れると、何処からなく研究者達が集まり始める。
その中の1人が、高エネルギー射撃室の前の扉前で
「かなり強化したので問題無く使える様になったはずだ」
と自信をみせた。
「分かりました。使ってみます」
と答えて高エネルギー射撃室に入り安全装置を起動させる。
モニター室の方を見ると、結構な数の研究者達が居る事が見て取れた。
いつもの事なので、気にしないで射撃位置に立つ。
普段、使用を制限している
これらの
単発だけでなく、連射や複合
1時間程撃ちまくった所で、施設の保護機能が作動したので終了した。
結界発生装置には問題がなかったが、余波エネルギーを拡散・吸収する装置がオーバーヒートした。
装置を開発した研究者達が近寄れない程、余剰エネルギーを一時保管するエネルギー貯蔵器が発熱している。
訓練校に入る前は、5分しか保たなかった事を考えるとかなり強化された事が分かるけど、再使用可能になるにはどの位の時間が掛かるのだろう?
以前は、冷却とエネルギーの開放で72時間も掛かっていたからな。
対応に追われる研究者達を残して第一射撃場に行く。
厳重に管理された第一射撃場に入り、火器管理室に保管されている警察用拳銃SAKURA M360Jと弾丸を取り出し射撃場に向かう。
ここで私が行うのは、規定訓練である射撃を行う為だ。
第一射撃場は、建屋の扉全て電子ロックされているし、火器は電子タグで管理されているので容易に持ち出せない様になっている。
射撃場で射撃訓練を行っていると、射撃室の外に山奈さんと美智子さん達が居た。
丁度最後の89式5.56mm小銃の訓練を終えた所だった。
山奈さんが扉を開け入ってくる。
美智子さん達もそれに続いて入ってきた。
「射撃訓練は終わったのか?」
と山奈さんが聞いてきた。
彼女は、私が射撃訓練の最後に89式を使うのを知っているので、そう聞いてきた。
「丁度撃ち終わった所です。これから清掃です」
と答えると
「じゃあ、ササッと終わらせてお昼にしよう」
と言う。
「分かりました」
と答えて、排莢で飛び散った空薬莢を拾い集め、空薬莢入れに入れて数を確認後、作業用テーブルに移動して銃の分解・清掃を始めた。
手早く銃を分解・各部品の掃除を行い、可動部に潤滑して防錆油を塗ってから組み立てる。
分解・清掃の様子を見ている千明さんから
「すごい」
と感嘆の声が漏れる。
「慣れだよ。数を熟せば誰でも出来る様になる」
と山奈さんが答えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます