第232話 1年次 6月総合試験結果(5)
「これ程極端な
と言いながら、手に持った魔力制御訓練ボールを確認する。
「
と教育官の1人が、質問してきた。
「文字通り
と言うと、教育官達は『初めて聞いた』みたいな顔をし、訓練生達は状況が飲み込めていない。
「その
と毒島君が問う
「その通りですよ。
まずは、
「頼む治療してくれ。今は金は無いが必ず払うから」
と必死な様子で毒島君が頼んでくる。
「そう慌てないで下さい。
最初から治療を行うつもりです。
治療を行うにも現状を知って貰う必要があります。
これから行う説明を聞いて下さい」
と前置きをしてから周囲を見渡し、聞く準備が出来たのを確認する。
手に乗せた魔力制御訓練ボールを球形に戻し、手に乗った魔力制御訓練ボールを毒島君達と教育官達に見せる様にして
「正常な状態の
個人差はありますが、ほぼ球形です。
魔力出力は、
この事からも、
ここで一息つき、魔力制御訓練ボールを毒島君の形に変形させる。
「毒島君の
この様な形状の為、外側には膨張出来る余地が殆ど無く、内圧は上がり続けた。
その結果、ちょっと突けば破裂寸前の状態になり成長限界が訪れた。
この形状になったのは、恐らく魔力出力のイメージが雑巾の様に搾り出していた事と、無理に
入校時に見た時は、ここまで酷くなかったので間違いないと思います」
と言うと、教育官の一人が
「ちょっと待ってください。貴方は
と問うので
「ええ、はっきりと見えますよ。
と答えると、教育官達は非常に驚いていた。
「それじゃあ、魔力制御訓練ボールの形も、
と別の教育官が尋ねた。
「細かい部分に差は出ていますが、概ね
なので、簡易測定とも言えます。
ですが、欠点も多い方法です。
まず、魔力制御訓練ボールが、放出系・具現化系の魔力形成訓練用であるため、形状を記憶出来ない事。
体外に放出される魔力自体が、人の意志によって放出形状を変える事が出来る為、事前情報を知らない事。
魔力制御訓練用ボールなので、再現力がそれ程高く無いと言う位ですね。
なので、今回の様に抜き打ちでも無いと、
と言って周囲を確認してから
「話を元に戻して。
毒島君の
と言って、手に持った魔力制御訓練ボールを、皆が見やすい高さに掲げ
「捻じれと反対方向に回転させます。
捻れが取れた位置で固定する訓練を繰り返します。
注意が必要なのは、逆に捻じらない事です。
逆に捻じると、
毒島君の魔力量なら、8割の確率で魔力喪失もしくは低魔力化します。
残り2割の確率で死亡です」
と言った所で、毒島君が強張った。
「さて、実際のやり方ですが」
と言った後、机の上に置いてある簡易魔力計を毒島君に渡した。
「その魔力計を見ながら、
魔力計の値が減少す方向に
その方向をしっかりと覚えて下さい。
その方向が、貴方の
と言うと、当人の毒島君も教育官達も驚いていた。
「彼の場合、正規の訓練を受ける事無く、無理に魔力使い続けた事によって生じた奇形と、魔力制御訓練が裏目に出た特殊な事例です。
当面は、本来の回転方向に
本来の回転方向に回転させて減少が無くなり、増加傾向が出る様になれば、成長限界解除の治療は完了になります。
あとは、地道に魔力を量を増やす訓練を積めば、
この治療は危険も伴う為、必ず教育官の監督の元で行って下さい。
また治療完了には、6ヶ月以上掛かるので根気良く行って下さい。
取り敢えず、やってみましょう。
と言って、実行させる。
加藤教育官が毒島君の後ろに回り、他の教育官達も興味深そうに見守る中、ついに減少する方向が分かる。
そこから最も魔力が減少する方向を探し出した。
「この方向が俺の
と毒島君が呟いた。
彼の
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