第209話 訓練内容の変更
「そういう訳で、教育官達に負けるつもりはありません。
なので覚悟してください」
と言うと
「うわー」
「えー」
とか言って大げさに驚いている。
クスリと小さく笑ってから
「基本的に今やっている内容とそう変わりません。
ただ、ちょっと強度を上げるだけです」
と言うと
「絶対、ちょっとだけじゃ無い」
「うん、間違いない」
「ちょっとの幅が、ぜーたっい広い」
「それに、ちょっとした応用とか言って、全く別のものをやらされそう」
「それもあるよね」
「あと、全種目制覇とか言われるかも」
「あ、それ、有りそう」
と言う感じで、好き放題言っている。
「やる気も十分ですね。
訓練内容の見直しましょう」
と返すと
「えー」
「ちょっと、ムリムリ」
「今でもアップアップなのに」
「ねぇ、冗談だよね」
と悲鳴を上げる。
「さぁ、どうしましょうかね」
と答えをはぐらかして、宿泊棟に入る。
田中さん達も、慌てて追いかけるように宿泊棟に入って来た。
5人で地下の訓練場に着くと、隊員達8人と南雲さんが待機していた。
既に普段より10分遅れだが、状況の説明を行い訓練を始める。
田中さん達の訓練内容は、魔力制御訓練、格闘訓練、高圧縮学習装置の順に行う。
全ての訓練時間を均等に行うのではなく、魔力制御訓練<高圧縮学習装置<格闘訓練になる様にした。
魔力制御訓練は、外部から負荷を掛ける事で訓練内容の難度を上げられる。
高圧縮学習装置は、圧縮倍率を許容値より僅かに大きくする事で、短時間での効果を上げる事が出来る。
一方、格闘訓練は、魔力制御と身体強化を行いながら戦う訓練なので、基礎運動から繰り返し身体に覚えさせる必要がるので時間が掛かる。
それに、個々の
と言う事で、魔力制御訓練を行う。
隊員達と田中さん達に魔力の負荷を掛けて、魔力制御訓練を行う。
隊員達は、負荷により多少やりづらそうにしている。
田中さん、土田さん、鳥栖さんは、辛そうにしているがなんとか制御している。
問題は都竹さんだ。
彼女はまだ自力で魔力調律状態になれない。
その為、3人よりも不安定でかなり辛そうだ。
まずは、
魔力制御訓練を終え、格闘訓練に移る。
ここ数日で、多少不格好ながら走れる様になってきているが、まだまだ時間が掛かりすぎる。
現在のランクなら安定して、1分を切る位のタイムを出せる様にならないといけない。
慣れれば、30秒台も出せる様になるだろう。
でも、その位のタイムが出せる様になる頃には、ランクが上がっていそうだなと思って見ていた。
500mを5本走らせた後は、隊員達に任して格闘の訓練を行ってもらう。
その間、私は普段通り筋トレを行っていた。
格闘訓練の次は、高圧縮学習装置を使用してもらう。
学習内容は、
田中さん達が、高圧縮学習装置を使用している間に、隊員達の追加の訓練を行う。
訓練時間終了5分前に訓練を終了して教室に戻る。
5分前に終了するのは、校舎への移動時間と他の訓練生に見つからない為だ。
校舎の更衣室で訓練着から制服に着替えている最中に、他の訓練生も戻って来て着替えている。
私一人の場合は、宿泊棟で着替えて居たし、移動も1分とかからないので、訓練時間終了後からでも間に合ったのだが、流石に5人で移動となると、更衣室で着替えないと不自然だろうから、これからは更衣室で着替えてから移動する事にした。
教室では、何故か落胆した訓練生が多数居た。
普段通りの栗下さん達の所に状況を聞きに行くと、皐月さんが教育官のモノマネを入れて教えてくれた。
「いやー、訓練前に学年主任がね。
『お前ら、今年の1年生は優秀な訓練生が多くて大変喜ばしい状況だ。
そこで、能力訓練で優秀な者を更に鍛え伸ばす事になった。
今日の訓練から4クラスに分け訓練を行う。
優秀な訓練生10名のAクラス。
それに次ぐ優秀な訓練生15名のBクラス。
普通のCクラス。
そして、それ以外のDクラス。
クラス分けは、先日の中間試験の結果を元に選抜した。
このクラス分けは固定では無い。
日々の訓練成果を元に、毎月入れ替えを検討している。
だから、A、Bクラスになれたからと言って油断すると、直ぐに下位のクラス行きになる。
逆に、各人の頑張り次第では、上位のクラスに行けるから頑張るように。
それでは、クラス分けを発表するぞ。
呼ばれた訓練生は、指導教育官の元に移動する様に』
と言って、A、Bクラスの生徒を一人ずつ呼んだのだけど」
と言って溜めを作り
「なんと、うちのクラスからは誰も呼ばれませんでした」
とドヤ顔で言われた。
いや、なんでそこでドヤ顔するの?
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