第191話 テスト前の出来事(1)
普段通り起き、厚生棟の食堂で朝食を食べ、魔力制御訓練棟で自主訓練を行った後、田中さん達と隊員達の朝訓練を1時間行ってから教室に向かう。
今日は中間テスト前最後の授業日の為、午前中のみの授業だ。
その為、午後に行われる能力訓練も中止になっている。
その午前中の授業は、月初の能力測定を行う以外は自習になっている。
月初の能力測定は、3年生、2年生、1年生の順に行われる。
1学年の能力測定には、約1時間程掛かる。
なので、1年生が能力測定を受ける時間はお昼近くになった。
私は、能力測定を受けないので教室に残っていたのだが、能力検査を受けて戻って来たクラスメイト達の多くは、お互いの測定結果を話題に花を咲かせている。
一方、一部のクラスメイトは、激しく落ち込んだり、
彼らは、私達に対抗心を燃やしていた自称意識高い系のクラスメイト達だ。
田中さん達4人も、自身の努力の成果を確認できた様だ。
彼女達の能力は、以下の通りだ。
魔力:3,511MP(ランクF3)
具現化系
水:F1
特殊系
魔力耐性:F1
魔力:4,101MP(ランクF4)
放出系
火:F1
魔力:3,302MP(ランクF3)
特殊系
鑑定:F1
魔力:3,289MP(ランクF3)
特殊系
探知:F1
自称意識高い系の人達は、入学時の魔力量の48%位増しになっていた。
訓練生の平均が20%増し位だから優秀な結果なのだが、田中さん達と比較すると残念な結果になった。
残念な結果と言えば、不良グループの毒島、沼田、前田の3名は、入学時から微増という結果になった。
午前中の授業も滞りなく終わり、田中さん達と食堂でお昼を食べている時
「神城さんは、この後どうするの?」
と言う都竹さんからの質問に
「平田さんの様子を見に行きますよ」
と答えると、土田さんから
「その後は、普段通り訓練するの?」
と言われたので
「多分、そうなります」
と答える。
すると、鳥栖さんが
「じゃあ、私達も行って良い?」
と聞くので
「構いませんよ」
と答えると
「じゃあ、一旦寮に戻って着替えてからの方が良いね」
「そうだね。あと、帰りにお風呂に入りたいから、着替えも持ってこよう」
「うん、そうだね」
「そうしよう」
と言う事になり、一旦寮に戻った。
寮で訓練着に着替えてから田中さん達と一緒に宿泊棟に移動する。
訓練場で、田中さん達は隊員達と一緒に魔力調律維持訓練を行う。
田中さん達の魔力調律状態維持時間も
このまま同じ訓練を続けても良いが、隊員達と違い、田中さん達の訓練効率が落ちてきている。
なので、新しい訓練を追加する事にした。
1時間ちょっとの1回目の魔力調律維持訓練を終えた田中さん達4人を集め、新しい訓練をする事を告げると、一様に嬉しそうにしている。
魔力調律の訓練は、地味で単調だから飽きやすいから仕方ない。
とは言え、次の段階の魔力操作の訓練も地味で単調なんだよね。
だから、まずは身体を動かしながらの簡単な魔力操作を学んで貰う。
訓練内容は、魔力で筋力を強化しながら走るという内容だ。
ただ走るのではなく、必要な部位の筋肉に魔力を集め、強化しながら走るという課題だ。
なので、まず最初に魔力を身体の部位の筋肉に集める方法を教え、隊員達に補助されながら訓練を行う。
不完全ながらも、30分程で魔力で筋力を強化出来る様になったので、実際に走らせる事にする。
注意事項として、全身では無く、あくまでも走るのに必要な部位のみを強化する事を強く言い聞かせてから走らせるが、4人共、盛大にひっくり返った。
これは、強化された脚の行きおいに上半身が追いつかずに、ひっくり返った。
床を蹴る力強すぎて吹き飛んだり、蹴り足が床を掴めず、空振った勢いのまま床に顔から飛び込んだりしている。
そんな感じで転びまくりながら四苦八苦している。
その田中さん達は、訓練校の訓練服を着ているので、汚れても問題がない。
15時までの約30分間、頑張って走ってもらったが、やっと1周回れた位だ。
その田中さん達は、膝に両手を着けて荒い呼吸を整えているだけで、多少のかすり傷がある程度だ。
そして、隊員達は、その様子を微笑ましそうに見ていた。
制御訓練終了後は、高圧縮学習装置を使った学習だ。
昨日の午後と同様、各人の最大負荷で行った。
終了後の状態は、田中さんと鳥栖さんは終了直後から普通に動けたが、土田さんと都竹さんはかなり辛そうにしている。
二人の状態が良くなってから、全員で厚生棟の食堂で夕食を食べてから寮に戻ってきた。
普段通りお風呂に入った後、勉強をしていたら都竹さんからメッセージが届いた。
内容を確認すると
「少しお願いしたい事があるのだけど、聞いて貰えないか?」
と言う内容だったので
「どうしました?」
と返信すると
「勉強する場所が無いから、部屋を貸して欲しい」
と言う内容だった。
寮で勉強できる場所は、自室と談話室と学習室がある。
談話室と学習室は、試験前、試験中は盛況になるが、勉強出来ない程人が集まる事は無いと聞いていたので、広域探知の範囲を広げて確認すると、確かに人でいっぱいだった。
ついでに、彼女達の部屋も調べて見ると、どの部屋も3~4人が集まっている状態だった。
なので、彼女達に部屋を貸す事にした。
メッセージを送り、彼女達を迎え入れる為に下に降りて寮監室の前で待っていると、寮監の矢野さんが顔を出したので状況を説明する。
「また、せこい手を使ってきたもんだ。
寮全体であんたらに嫌がらせをしているのさ」
と心底呆れた感じで言い放った。
どういう事かと聞くと
「あんたらに直接手を出せば、私らや戦術課の女性隊員に怒られるから、自主勉強にかこつけて、あんたらの邪魔をしているのさ。
まあ、いい。
後で、あの馬鹿共に喝を入れとくよ」
と言うので
「折角、勉強しているので、よりしっかりと勉強する様に激励を入れてください。
くれぐれも、やる気を削ぐ事は無い様に願います」
と答えると
「あんたは、優しいね。
よしわかった。
あの馬鹿共に発破を掛けてくるよ」
と言い残して談話室の方に軽快な足取りで向かていった。
一抹の不安が残るが、追い出す事はしないだろう。
矢野さんと入れ違いに都竹さん達4人がやって来たので、彼女達が何か言い出す前に、彼女達を連れて部屋に戻る。
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