第187話 ゴールデンウィーク(15)

「それだと、33点ですね」

 と言うと

「え、低い!」

「なんか半端な数値」

「掠った位なのかな」

 等々の反応があった。


「魔力の6要素は分かりますか?」

 と問うと

 田中さん達4人は

「分からない」

 と言って首を横に振り、今日来ている隊員達も首を傾げている。

 そんな中、南雲さんが多少呆れながら

「許容量、把握はあく量、生成量、耐久力、抗魔力、修復力の事だろ」

 と答えた。


「その通りです」

 と私が言うと、周りは「おー」と感嘆を漏らし、拍手している。


「訓練生組が知らないのは、まだ習っていないので仕方ないですが、隊員組が知らないでは困ります」

 と苦言を言うと

「訓練校のテスト以外で使うこと無いから、忘れてた」

 と誤魔化していた。


「では、改めて魔力の6要素ですが、先程南雲さんが言った通り、許容量、把握はあく量、生成量、耐久力、抗魔力、修復力の6種類です。

 それぞれの内容は

 許容量:魔力を体内に蓄積できる量

 把握はあく量:一度に取り出せる魔力量

 生成量:単位時間当たりに生成する魔力量

 耐久力:魔力に対するダメージの許容値

 抗魔力:魔力に対する耐性

 修復力:傷ついた耐久値の修復する力

 となります。


 先程の田中さんの回答『魔力に対する抵抗力の向上』だと、抗魔力を強化する能力アビリティ、抗魔力向上や強化の能力アビリティが相当します」

 と言って、周りを見渡す。

 あまり理解出来ていないのかな?


「基本的に能力補正の能力アビリティは、向上、強化、耐性と順を追って強くなります」

 周りを見ると頷いている。

 しっかりと聞いている様だ。


「そして、田中さんに発露はつろした魔力耐性は」

 と言った所で、ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。

 ただ、説明しているだけ何だから、そこまで緊張する事無いのに。


「魔力6要素の内の耐久力、抗魔力、修復力を統合した複合能力アビリティです」

 と言ったあと、皆の顔を見渡すと、平田さんがそうなんだと言った感じの表情だが、他の人の顔は呆けていた。


「魔力的な防御力、耐久力が総合的に上がる能力アビリティと思って下さい」

 と言うと、彼女達はお互いに顔を見合わせて

「意外と地味な能力アビリティ?」

 と鳥栖さんがこぼした。


「そうですね。

 地味といえば地味ですが、有能な能力アビリティです」

 と言うと、皆の頭に疑問符が浮かんでいる様な顔をしている。


「この能力アビリティは、自身の能力に加算されるので他の人より優れた魔力防御力を得ます。

 正しく制御出来る様になれば、物理・魔力両方の攻撃に対する防御力を得る事も出来ます」

 と言ったら、「はぁ?」と唖然とした声が聞こえた。


 なので

技能スキルの中には、物理攻撃を魔力で受ける方法が2つあります。

 魔力で物理的な盾等を作って防御する方法と物理的なダメージを魔力に転換して受ける方法です。

 魔力耐性を持った者が、後者の方法を用いると大幅なダメージの軽減が図れる様になります。

 要は使い方次第では、物凄く有能な能力アビリティとなります」

 と追加の説明を入れるが、未だに唖然とした顔をしている。


「どこか分からない事がありましたか?」

 と聞くと、隊員の一人が

「ちょっと待ってください。

 そんな高性能な能力アビリティなんて聞いたことありません」

 と叫ぶ様に言うと

「そもそも、複合能力アビリティってなんですか? 聞いたことありません」

「魔力の6要素に、強化能力アビリティが在るなんて、知りません」

「たまに、向上や強化を持っている人はいますが、耐性ってなんですか?

 初めて聞きました」

 と、一斉に騒ぎだした。


 私は、彼女達を鎮め、説明を追加する。

「まず、強化系の能力アビリティの中で、発露はつろ者本人に作用するものは、非常に希少です。


 また、属性強化系を有していても、ほとんどの人が最下級の向上です。

 能力アビリティが進化したものが、強化になります。

 更に進化させた時、攻撃系なら激成げきせい、防御系なら耐性になります。

 ここまで進化させた人は、極々一部の人だけですから知らなくて当然です。


 そして、複合能力アビリティは、複数の能力アビリティが統合進化する事で発生する事が確認されています。

 ただ、組合せが幾つか分かっているだけで、進化条件は不明です。


 だから、貴方達が知らなくて当然です」

 と言うと

「神城さんは、なんで知っているの?」

 と鳥栖さんが質問きた。


「なんでって言われても、私は上級能力鑑定師ですよ」

 と答えると、鳥栖さん達は「あっ」と言ってお互いに顔を見合わせている。

 その様子だと忘れていたな。


能力アビリティがあるだけでなく、きちんと能力鑑定師の資格を取っています。

 当然、膨大な能力アビリティの情報も覚えていますよ」

 と言うと、全員が納得した様だ。


「南雲さん、後で田中さんの高圧縮学習装置のデータを思金おもいかねに送って下さい」

 とお願いすると

「分かった。東海支局にデータを送っておく」

 と了承してくれた。


「遅くなりましたが、ご飯を食べましょう」

 と言って、ご飯を食べ始める。

 皆も食べ始める。

 食事中の話題は、やはり田中さんの新しい能力アビリティについてだった。


 食後の片付けを、田中さん達が行っている間に平田さんの夜が訓練を行い。

 私は、その様子を見ている。


 今日来ている隊員達は、昼間作ったゴーレムで遊んでいる。

 そして、洗い物が終わった田中さん達も、隊員達に合流した。


 平田さんの訓練が終わったので、診断して

「今日の訓練でパスの状態は、多少消耗していますが、一晩で治る範囲です。

 なので、明日まで魔力を使用しないで下さい」

 と告げると

「分かった」

 と簡素な返事が返ってきた。

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