第174話 ゴールデンウィーク(2)
明日の予定を確認する。
朝、8時に迎えが来るとのこと。
なので、本日の護衛役の人達からは
「朝訓練はいつも通りに行って欲しい」
との事だった。
それで遊びに行くメンバーは、私達5人と平田さん、高月さん、久喜さん一家、当日の護衛担当4人の合計14人。
随分と大所帯だ。
南雲さんが行かないと言うのは想定内だが、平田さんが一緒に行くというのにはちょっと驚いた。
正直、今居る部屋ですら入居時からインテリア等に変化が無いし、趣味的な活動をしているのを見た事が無かった。
だから、私と同様に
なので、
翌朝、自室で朝食を食べてから普段通り朝の訓練を行ってから、集合場所である訓練校の校門に集まる。
程なくマイクロバスがやってくる。
運転手は久喜さんだ。
マイクロバスの扉を高月さんが開けてくれた。
前の方の席では、
平田さんは一番後ろに座り、護衛役の4人はその前に席に座っている。
私は、土田さんと鳥栖さん達と少し離れた席に座り、高月さんは扉の近くに座った。
全員が乗り込んでもまだ席に余裕がある。
全員が席に着いた所で移動を開始する。
当然、全員私服で搭乗している。
各人が思い思いで過ごす中、平田さんは外を眺めている。
その様子を確認していると
「どうかしたの?」
と高月さんに尋ねられた。
「いえ、平田さんが良く参加したなーと思って」
と答えると
「ああ、南から訓練を取ったら何もしないからね。
本当にあの子は、自主的に生産的な事何もしないから。
だから、強引に誘ったのよ。
家事とかが壊滅的とかではなくて、むしろかなり上手いわよ。
事務処理とかも、早いし上手いよ。
でも、自身が強くなる事と戦う事以外に興味が持てないみたいなのよ。
休日なんて関係なく、ひたすら訓練している子なんだもの。
だから、少しでも他の事にも興味を持つ様にお節介を焼いてしまうの」
ちょっと困った感じで返答が返ってきた。
「そうなんですか。
確かに、お姉さんが妹を世話を焼いているみたいですね」
と柔らかく答えると、盛大に苦笑いをして
「神城さんもそんな事言うんだね。
それについては自覚があるから反論出来ないんだけど」
と返された。
私の後ろに座っていた護衛役の
「そりゃあね。姉妹かカップルと言う位甲斐甲斐しく面倒を見ているからね。
その為か、平田も高月のお願いには弱いみたいですよ」
ニシシと含み笑いを教えてくれた。
その隣の
「ちなみに、高月がお節介焼きの姉で、平田が不器用で無愛想で出不精な妹というのが隊の定説になっています」
と補足してくれる。
「ちょっと、いつの間にそんな設定が出来ているのよ。
初耳よ」
と平田さんが慌てているが、二人は笑っているだけだ。
「ちなみに、由寿さんが二人のお母さんと言う話しもありますよ」
と石原さんが、更に設定を盛る。
由寿さんは、優しくもなんだか迫力がある笑顔を向けている。
その為か、それ以上設定が盛られる事が無かった。
ちなみに年齢で言えば、平田さんの方が2歳年上だ。
約1時間程掛けて、名古屋城北部にある名城公園野球場の駐車場に到着した。
ここで、マイクロバスを降りる。
平田さんを含む隊員達は、予備武装を収納したカバンを持ってマイクロバスから降りた。
当然の事ながら、外見からは武装が入っている様に見えない様になっている。
何故、ここにマイクロバスを止めるのは、久喜さん曰く
「ここは、名古屋城から少し離れているが、城の近くに止めるよりも駐車しやすいし、この時期は途中にある名城公園もきれいだぞ」
という理由らしい。
色取り取りの花々が咲く花壇がある道を進む。
風車も見える。
広場を抜け、道沿いに進み、藤棚が見えた。
恵ちゃんは、土田さんと鳥栖さんと手を繋いで歩き、藤の紫色の花を見てはしゃいでいる。
二之丸東門跡を抜けて、表二之門を超えて本丸御殿へとやってきた。
さすが休日、大勢の人が来ている。
私達は、本丸御殿を見学する。
観覧券は、事前に電子チケットを購入済みなのですんなり入れた。
中は、流石に圧巻ですごくてキレイだった。
それ以上の感想を言える語彙はなかった。
その後、天守閣を外から眺め、天守閣の裏側からぐるっと周って正門を抜けて金シャチ横丁で早めの昼食を取る事になった。
まあ、早めに来たと言ってもそれなりに混んでいる。
何を食べるかで揉めたけど、恵ちゃんが親子丼を食べたいと言った事で、全員で親子丼を食べる事になった。
お昼を食べた後、お菓子と飲み物を少し買ってから、名城公園の森の広場に移動した。
ここには遊具もあるので、ここで恵ちゃんを遊ばしている。
今、恵ちゃんに付き添いをしているのは、土田さん達4人と護衛役の1人の
平田さんは、恵ちゃんに引っ張られて行った。
平田さんは、相当困惑した感じで石破さん達にフォローされながら対応している。
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