第173話 ゴールデンウィーク(1)
その後は、大きな問題もなく月末を迎えた。
田中さん達4人の訓練も順調で、魔力量も都竹さんがF4、他の3人がF3になり、全力の
だいぶコツを掴んできた様なので、自力で調律状態に成れるの日も近いと思う。
小さな問題は、田中さん達4人が、色々な
でも、本当に戦術課の女性隊員が干渉してくるとは思って見なかった。
その様子を横から見ていた田中さん達曰く、問題の女性訓練生達を寮監と女性隊員達で取り囲み、魔力で威圧した上で言葉で心を
その具体的な内容は
「思い出したくないから聞かないで」
と言われて教えてもらえなかったが、トラウマレベルの内容だった様だ。
まあ、この事件後、私達に突っかかってくる人達は居なくなった。
ちなみに、私達の仲間になりたいと言う人や私に対する勧誘や直接的な嫌がらせは皆無だった。
あと、田中さん達の土曜日の自主訓練の内容が変わった。
以前は、訓練の復習をしていたのだが、今は午前中は女性隊員達が体作りや武術の訓練を行う様になり、午後は南雲さんによる高圧縮学習装置を使った勉強を行っている。
4月の月末ということで、ゴールデンウィークです。
今年のゴールデンウィークは、3連休、通常日、3連休の前後半に分かれている。
連休ど真ん中に平日を挟んでいる為、近くに実家のある訓練生は外出許可を取って帰省する人が多く、県内遠方の人は前後半どちらか一方で帰省する人が多い様だ。
県外から来ている人は、帰省する人はあまりいない。
田中さん達は、都竹さん以外は実家が近くでは無いので帰省しないで、訓練をするそうだ。
一方私は、ゴールデンウィーク前半に解剖実習が行われる事になった。
本来、医学大学では4ヶ月掛けて行われる実習を、実質3日で終わらせるという超過密日程だ。
当然、高圧縮学習装置で必要な知識の習得は終了しています。
ゴールデンウィーク前日の夕方に迎えが来て、そのまま解剖実習が行われる大学病院の近くのビジネスホテルに移動した。
翌朝、5時30分に大学病院に集合する。
今回の解剖実習に参加する参加者は、私以外に6人の参加者が居る。
皆、職種転換訓練を受ける為に各部隊から来た人達で、当然の事ながら年齢・性別はバラバラだが全員私より年上だ。
なので、私一人だけが場違いの様に浮いている。
各部隊や対魔庁系の病院からの指導監督官も3人来ている。
大学病院からは、担当教員の人が指導監督官として1人立ち会う。
それと別に東海支局
私以外は、3人1組になって解剖実習に挑む。
私は研究医の2人、
解剖実習は、6時から21時までで、お昼と夕食時に1時間の休憩を挟むだけでぶっ通しで行われた。
しかも、大学の担当教員以外は能力者なので、身体強化を使った高速動作で行われるので、担当教員の皆様は目で追うのがやっとという状態だった。
他の班の人達は交代で解剖を行っていたが、私の所は羽間さんと清さんが、サポートに徹し、要所要所で若桜さんが説明とフォローをしてくれたので私一人でも行うことが出来た。
解剖実習で、3日間を過ごした。
流石に疲れました。
後で聞いた話によると担当教員の人達は、能力者の解剖実習を初めて見たそうで、その作業速度がこれ程早く、これ程長時間続くと思っていなかったそうだ。
そして、1日で1ヶ月半分の作業を熟していたそうで、担当教員の人達は乾いた笑いしかでなくなっていた。
しかも、大学病院の担当教員の人達は、3日間それぞれ別の人が出る予定だったのだが、私達の作業が早すぎる為、最初の担当者が初日の午前中に他の担当者を呼び出し、結局3日間3人で見ている状態になった。
ちなみに、各日の終わりに行われる口頭試問では、担当教員3人が積極的に試問を出していました。
そんな訳で、解剖実習を終えて訓練校に戻って来たのは、中日の平日の朝5時。
移動中の車の中で寝ていたとはいえ、流石に寝不足だ。
送ってくれた若桜さん達と別れ部屋に戻り、熱いシャワーを浴びてから、今日の授業の準備をしてから朝食を食べに行く。
この後は、普段通り自分の訓練を行い、田中さん達と護衛役の人達を交えた朝訓練を行い、授業を受けた。
そして放課後、いつも通り田中さん達に平田さん・南雲さん達を加えた11人で夕食を取っている時、土田さんから
「神城さん、明日からの3連休の予定って何か入っています?」
と聞かれたので
「特に予定は入れていません」
と答えた。
すると、鳥栖さんが続けて
「じゃあ、明日、皆で名古屋城に行かない?」
と尋ねてきた。
「急にどうしたのですか?」
土田さんが
「恵ちゃんの事覚えてる?」
と聞くので
「久喜さんの娘さんですよね」
と答えると
「そうそう。その通り。
その恵ちゃんが私達とお出かけしたいって言っているんだって。
それで、久喜さん達のお休みが丁度明日なんだそうだ。
だから、一緒に何処かに外出しないかというお誘いを受けてね。
で、何処が良いかと言う話になった時に、私達の中で都竹さん以外、名古屋城に行った事が無いって話になって、名古屋城に行こうという事が決定したの。
でも、その話があった時は、神城さんが居なかったから、どうかなと思って」
「そういう事ですか。問題ありませんよ。
一緒に行っても良いですが、その前に護衛の方は大丈夫なんですか?」
と私が今日来ている隊員に話しを振ると
「既に予定として観光をするかもと伝えてあるから大丈夫です」
と返事が返ってきた。
「分かりました。私も参加します」
何処か縋る様な目で、ジーと見ている4人にそう答えるのだった。
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