第159話 人間関係は複雑(1)
「南雲さんって、非能力者だったんですね」
鳥栖さんの一言に
「あら、対魔庁にも非能力者は結構居るわよ。
知らなかった?」
南雲さんが返した。
鳥栖さんが慌てた様に
「いえ、以前神城さんに教えて貰いましたが、実際に目にするまで理解出来ていなかったんだなって思えて」
「そうですね、そういう人は多いですよ。
なかには、非能力者と分かると高圧的な態度を取る人も居ます」
「え、そんな人居るのですか?」
田中さんが素っ頓狂な声を上げた。
「結構いるよ。
能力者だから偉いと思っている馬鹿は結構いる。
クラスにもマウント取りたがっている人が大勢いるでしょ。
ああいう人は、
しかし、
だから、彼らに取って非能力者とは、無条件に優位性をアピール出来る対象とみなしてしまう。
特に、強い劣等感を持つ人や自己顕示欲が強い人が、相手を格下と認識した時に自分に従わせるために、理不尽な要求をして暴力を振るう事も多々ある」
私の言葉に田中さん達4人は驚いている。
「特に、私なんかは狙われ易い」
「え?なんで?」
田中さんの質問に
「訓練校の生徒は、私の事をどうなっていると思う?」
と切り返すと
「私達以外の人から神城さんを見たらって事ですよね?」
「そうだよ」
田中「小さくてかわいいから、弱そうに見える」
土田「レアな
鳥栖「色々と特別待遇で優遇されている」
都竹「能力訓練も免除されている」
「まあ、その通りだと思うよ。
彼らからしたら難癖付けても引きずり降ろしたいと思っているみたい。
だから、必死に弱みを探っているみたいだよ。
全部筒抜けなんだけどね」
田中「それはそれで怖い」
「手っ取り早く全員屈服させて、指揮下に入れた方が良くない?」
「教導官が訓練生に教導を行う行為は越権行為でしょ」
「それもそうか」
護衛役の二人も物騒な事言っている。
「私が
降りかかる火の粉は適度に払いますが、処理は教育課に一任するつもりです」
都竹さんが何かに気付いて、申し訳無さそうに
「ひょっとして、神城さんが私達に教導を行う事ってダメな行為だった?」
大きくため息をついて
「基本的にはその通りですが、貴方達とは契約を交わしたでしょ」
田中さんが思い出しながら
「契約?
あの神城さんの部屋でサインした奴だよね。
訓練のデータを集めるとか言ってた」
「その契約です。
そこにも明記していますが、あくまでも訓練校の訓練時間以外の時間で行う事、すなわち貴方達の個人の自由時間に行う事と、
あくまでも
この契約書があるから、
貴方達が第三者に情報を漏らす事を禁止しているは、他に教導を求める人が増やさない為です」
田中「もう、増やさないって事?」
「増やしません」
都竹「そうか、明日香さんは誘えないか」
「明日香さん?
ああ、この間言っていた、能力訓練時に一緒のグループに居る人でしたね」
側に置いてあった端末を操作して彼女のデータを確認する。
「うん、残念だけど被験者候補対象外ですね」
都竹「そう、対象外なんだ」
土田「ところで、なんで対象外なの?」
「被験者の条件は、魔力量・
彼女の魔力量はランクF8で、身体強化(筋力)F8、具現化系:F5(火)と既に何らかの訓練を受けています。
なので、対象外です」
田中「そうか、それは残念」
「それよりも、貴方達も気をつけないとダメだよ」
南雲さんが忠告を言う
田中「どういう事ですか?」
「今の一年生で、貴方達4人とあと2人の6人だけが魔力制御訓練棟の使用許可が降りたのでしょう。
それは、自称天才さん達の面目を潰しているのと同じ事。
このまま何も無いと思わない方が良い。
十分気をつけなさい」
「そうか、そうだよね。みんな気をつけよう」
田中さんの言葉に3人は頷く。
「そうそう、寮内は特に気をつけた方が良いよ」
護衛役の言葉に田中さん達4人は驚いている。
鳥栖さんが、訳が分からないと言った感じで
「どうしてですか?」
「それは、どうしても寮内では1人で居る事が多いからよ。
だから、周りは敵だと思いなさい。
同室の子も信用しない方が良いわ。
下らない話しなんだけど、今頃派閥争いをしているはずよ。
普通なら貴方達の様な子達が中心になって作るか、それぞれの派閥が引き抜き合戦をやっているはずよ。
そして、貴方達4人と神城教導官を一纏めで1グループと見做されているはず。
神城教導官の弱みを握りたい人達からすれば、貴方達4人は格好の的ね。
能力訓練でも目立っているから、嫉妬の対象になっているでしょうしね。
4人同時は無理でも、個別にならどうとでもなると思って、様々な嫌がらせをしてくると思う。
だから、そういう傾向がほんの少しでも現れたり、されたら寮監や私達に相談しなさい。
絶対に一人で対処しようと考えないで。
いかなる脅しも誘いも断固拒否しなさい。
あとは、私達がなんとかしてあげるから」
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