第150話 飛び入り参加
この日も、普段通りに起きて朝のローテーションを熟し、朝ごはんを食べた後に魔力制御訓練棟の地下訓練場で訓練を熟す。
普段と違うのは、この後に田中さん達4人に朝の訓練を行う事だ。
なので、予定より早いけど普段の倍の強度の訓練に切り替えて6時55分まで訓練を行い、田中さん達を迎え入れる為に建屋の入り口に向かう。
ただ、この時、高月さんと平田さんが付いてきたのは予想外だった。
田中さん達4人と高月さんと平田さんは、厚生棟の前でばったり会ったのでそのまま一緒に朝食を食べた後、厚生棟の前で別れたのだが、4人が校舎と違う方向に向かったのでコッソリ付いて来たそうだ。
まあ、訓練風景は見られても困る事は無いし、平田さんの治療の第2段階で使うつもりなので、二人を迎い入れて地下の訓練室に移動する。
高月さんと平田さんには、壁際に椅子を置き、そこに座って見学してもらう。
そのついでに、平田さんの状態を診察も行う。
平田さんの経過は、問題無かった。
4人をモニターの前に立たせ、各人の魔力状態を表示させる。
「まず、昨日のおさらいです。
4人共5分以内に自分の
「では、最大出力で
私の号令で、
各人にアドバイスしたり、魔力で干渉して感覚を覚えさせたりするが、全身で
集中力が落ちると魔力制御が疎かになり、余計に力むという悪循環を繰り返している。
なので5分間、
最も、まだ1分も維持で出来ていないのだけど、魔力の最大出力と魔力を体に留めておくという2つの動作を同時に行うという中級者以上の訓練を、初心者にやらせているのだから上手く行かなくても仕方がない。
数を熟して感覚を掴んで欲しい。
高月さんが、最初の休憩の時に
「ねえ、神城さん。
彼女達が訓練始めたのはつい最近なんでしょ。
それなのに教えている内容が高度過ぎない?
訓練校での訓練も開始したばかりで、既に
「訓練校と同じ事をしても意味が有りません。
そもそも、魔力制御の基本であり、戦闘技術の基礎である
今の訓練校や戦闘隊員のほとんどが、
正しく
ただし、正しく指導出来る人間が指導する事が必須ですけどね」
「そ、そうなんだ。南は、なんとも思わないの?」
「え、私も最初に
「そ、そうなの。なんか、私の習ってきた事と違うんだけど」
「訓練校は万人に教える方法を取っていますし、そもそも正しい指導とか出来ませんから、比べるだけ無駄ですよ。
それに、
「え、そうなの? 私もやってみて良い?」
「どうぞ、都竹さんの隣に行って下さい。
最大出力の
「さらっと、高難度な事を要求してくるわね。
でも、神城さんとかはそういうレベルに居るんでしょう」
「そういう事です」
「頑張って、やってみますか」
2回目の
高月さんを含めた5人に指導しなが、5分が経過する。
高月さんは、苛ついた感じで
「あー、上手く行かなかった」
とボヤいている。
田中さんが恐る恐ると言った感じで
「あのー、普通、
「
そうね、訓練校の試験なら、
出力の30%未満まで抑えられたら及第点。
20%未満で、一人前。
10%未満で、上級者と言われているわ。
ただ、魔力量が増えると制御が追いつかなくなるから、今のランクC以上だと40~50%は放出している人が多いんじゃないかな。
私も放出魔力量の制御は、そこまで上手く無いからな」
そう言いつつも高月さんは、放出魔力量を20%未満まで抑えていた。
「そうなんですか。
何故、訓練校時代より放出魔力量が増えるのですか?」
「それは、ランクE1からランクD2位で入庁するからよ。
そこから厳しい訓練をして魔力量を増やすと、制御しなきゃいけない魔力量がどんどん増えていくから魔力制御訓練を積むのだけど、どうしても制御力より魔力量が増える速度が早いから相対的に魔力制御が疎かに成るのよね。
それに、魔力制御訓練って地味で大変だからね」
「地味で大変なんですか?」
「そうよ。
今やっている最大魔力量での
他にも、体の一部に全魔力を集めたり、同じ量の魔力弾を複数作成して並べるとか、10分以上放置しても崩壊しない魔力弾を作るとか色々あるわよ。
ただ、どの訓練もひたすら同じ事を繰り返すだけだから、飽きちゃうのよね」
「そうなんだ」
「おしゃべりは、そこまでにして訓練を再開します。
高月さんは、魔力を抑え込む事に意識を割き過ぎです。
もっと、均等に全身に魔力を回さないと意味がありません」
「う、更に難度が上がった」
「大げさですよ。
均等に魔力を回す事と放出魔力量を減らす事は、関連しているのですから難度が上がった訳ではありません。
むしろ、無駄に偏るから放出魔力量が増えるのですよ」
「そんな事考えたこと無かった。よし、やってみよう」
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