第143話 宿泊棟の大掃除(1)
ボールを手に持った彼女達を連れて魔力制御訓練棟を出る。
宿直棟に行く為に彼女達と別れ様とすると、「何をするのか?」と聞かれるので、「ちょっと、掃除に行くだけだよ」と答えると「手伝う」と回答が返って来た。
宿直棟の掃除は、伊坂班の人がする事になっているのだが、恐らく来るのが伊坂さん、山本さん、久喜さんの男性3人だと予想している。
そして、その3人が掃除出来るとは思えない。
私一人でも問題ないけど、人手は有った方が良い。
何年もまともに宿泊施設として使った形跡が無い以上相当汚れていると思う。
「かなり大変だけど大丈夫?」と確認すると「大丈夫」と気合の入った返答が返ってきたので、彼女達を連れて宿泊棟に移動する。
宿泊棟を前にして、田中さんが「こんな場所に、施設が有ったんだ。」と言葉をこぼし、「ここは、何の施設?」と鳥栖さんが訪ねてきた。
「ここは、宿泊棟。
元々、隔離保護者を匿う施設の一つだよ。
あと、諸事情により非能力者の方が、訓練校に通う際の宿泊所でもある。」
「へぇー、そうなんだ。
ここを掃除するって事は、誰か入るの?」
「うん、私の担当する患者が今日来る予定なんだ」
「え、患者って、神城さんって、まだお医者様じゃあないよね?」
「そうだけど、上級の治癒師だからね。
この辺だと私しか診ることが出来ない患者さんが居て、担当する事になったんだ。
日常的に病院に通えないから、患者さんに来て貰う事になったんだよ」
「そうなんだ」
土田さんの軽い感じで、
「神城さんって、上級能力鑑定士で、教導官で、治癒師って、ひょっとしてレア
そんな事無いよね?」
「レア
「あ、なんか、ごめんなさい」
「でも、神城さん位強かったら、護衛必要なくない?」
「じゃあ、私を見て強そに見える?」
「「「「見えない」」」」
「でしょ、だから外出時に絡まれたり、誘拐の可能性もあるの。
大概の事は自分でなんとか出来るけど、その後処理を私がしても周りの信頼が得られないから、後処理を行う人の同行がどうしても必要なのよ。
ついでに、護衛の人が居るとそういう危険性も大幅に下がるしね」
「なんか、妙に納得した」
他3人も頷いている。
建屋に入り、間取りを確認する。
1階には、更衣室とシャワールームと給湯室と広さが12畳の部屋が2部屋と24畳の大広間がある。
2階には、12畳の部屋が6部屋とシャワールームと手洗い場(洗濯機置場)と給湯室がある。
トイレは、各階のエレベーターの隣にある。
2階の部屋の半分が南向きで、残り半分が廊下を挟んで北側になっている。
今回掃除する予定は、1階の大広間と2階の南向きの3部屋だ。
1階と2階の北側の個室は、物置にする予定だ。
各部屋の中を確認するが、1階の大広間は、会議机と椅子以外に応接間みたいなソファーが対面して置いてあり、ソファーの間にはローテーブルが置いてある。
伊坂さんと山本さんが寝泊まりしたはずだが、全体的に埃っぽい。
恐らくソファーで寝たと思われるが、掃除をしていないと思われる。
1階の北側の個室は、リネン室になっていた。
中を確認したが、一体いつから使っていないのか厚い埃に埋もれたリネンの数々。
手にとて確認したが、洗濯しても使えない程ボロになっている。
1階の南側の個室は、机と椅子が2セット置いてあるだけだった。
更衣室とシャワールームは、一応掃除されていた。
2階の個室は、朽ちた家具が放置されていた。
2階の水回りは、掃除もされていないので汚れも酷い。
幸い、水と湯は問題なく出る。
掃除道具は、厚生棟から借りくるので問題ないが、思った以上にゴミのあったので、ゴミの集積所まで運ばないと行けない。
それは、伊坂さん達にお願いしよう。
あと、家具の買い出しが必要になった。
伊坂さん達が来たら相談しよう。
私達は、換気のために窓を開け、厚生棟に掃除道具とリアカーを借りに行く。
掃除道具が収められている倉庫を開け、リアカーに掃除道具を載せて宿泊棟に戻る。
しかし、リアカーって、折りたたみ式もあるんだね。
宿泊棟に戻ってくると、手分けして作業を行う。
私が水回りの掃除を担当
田中さんと鳥栖さんが1階の埃とリネン室のゴミを回収
土田さんと都竹さんが2階の埃を回収する。
廃棄する家具等の大型のゴミは、取り敢えずそのままにする。
水回りの汚れは1・2階共に酷くて、正直触りたく無い程汚い。
なにせ、皆でドン引きする程汚かった。
なので、
まず、18
この水の塊に浄化を付加し、少量の微細な石英の結晶を追加する。
円盤状に整形し水面が
水面が触れた物資の表面の凹凸に沿って汚れを削り取り、汚れを内部に取り込む。
水モップが通り抜けた後は、ピカピカになった。
表面張力を強化しているので、壁紙等の水の染み込みやすい物でも、染み込むこと無く表面を流れ汚れを一掃していく。
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