第129話 戦術課中部駐屯地(3)
沈黙が支配する中、周りも私が普通では無いという事を理解した。
特に機動戦略隊の隊員達の目付きが変わったが、一般隊員達の方は衝撃の方が大きかったらしく、まだ呆けている人が多い。
そんな中、3人目の憤怒の表情をした鳥山が入ってきた。
不甲斐ない戦いをした二人にお怒りの様だ。
鳥山の
合図と同時に、眉間を狙って槍を突き出して来た。
私が左に1歩ズレて躱すと、突き切った槍を払って来たので1歩後ろに飛んで躱す。
その後も急所を狙った突きを連続で繰り出してくる。
間合いを詰め寄うとすると槍を払って距離を取る。
一方的に戦える距離を維持しようとしている。
そして、焦れて突っ込んで来るのを待っている。
予想通り、ワザと大きめの突きを喉を目掛けて突いて来た。
それに合わせて、槍の右側の柄をナイフで滑らしながら間合いを詰める。
鳥山の顔がイヤラシく歪むと同時に槍を払いにきた。
鳥山的には、左下に払いを入れて押し倒したいのだろうが、事前にくると分かっていたものだ。
当てていたナイフの角度を変え右上に力を加重することで、私の右上に流れる様に押し出す。
鳥山は左水平に払い切った姿勢のまま、驚愕で目を見開いた状態で私を凝視している。
その顔にナイフの側面を振り抜いて打ち倒す。
4人目は、
こいつは、猪山と同じ位の身長で厳ついフルプレートアーマーを身に纏っている。
右手にメイス、左手に身長より大きな盾を持って、
新島「禰津、わかってるな!」
禰津「ああ、分かってる」
フルフェイスヘルメットの為表情は分からないが、相手の作戦は想像出来る。
此処まで一方的に負けているので、不退転の決意で戦う。
一撃でも与えれば倒せると思っていそうだから、ワザと隙きを見せて誘い込んで捕まえてからの自爆攻撃をするか、シールドチャージからシールドバッシュの連続技で倒しに来る位かな。
プライドが高いから、後者でくる可能性が高いかな。
開始の合図と同時に、盾を前面に押し出してシールドチャージで襲ってきた。
ワザと右方向(盾を持っている側)に回避行動とると、シールドバッシュに移行した。
禰津の体正面の足元に隙間が生まれる。
スライディングをする様にして、盾をすり抜け、無防備な首元に
5人目は、沼田だ。
中肉中背の放出系能力者で、火(C1)風(D5)だ。
人を見下した冷笑、
開始の合図直前に、
発動前から検知出来ているので余裕を持って回避を繰り返す。
躱した
私の背後の死角に沼田の魔力の塊を検知、
沼田の顔に驚愕が浮かぶ。
手元から離れて放出系
「チクショー、何故当たらん」
ヤケクソぽいセリフを吐きながら、一見でたらめに
私の左右に大量の
全身が火傷と焦げてボロボロになって転がっている。
特に手と頭は酷く、手は爛れ水ぶくれで腫れ上がっている、髪はチリチリになっており、顔には真っ赤だ。
意識はあるので痛みで呻いている。
爆風で高々と飛ばされたナイフが、私と沼田の中間の地面に刃先から突き刺さった。
私がナイフを拾うために歩き出した時、周りの人々の刻も動き出した。
衛生部隊の隊員が沼田の元に駆け寄り、状態を確認して担架を持ってこさせて場外に連れ出して治療を始めている。
新島達や一般隊員達は、沼田が
機動戦略隊の方は何人かは見ていたし、ナイフが地面に刺さった様子から状況を判断できたと思う。
やった事は簡単だ。
最後の6人目は、新島だ。
こいつら6人組のリーダー格で一般隊員の中で最強。
その馬鹿は
「どいつもこいつ使えない奴ばかりだ」
と周辺に当たり散らしているし、対戦位置についても
「お前も、沼田が偶々制御ミスしただけ勝ったつもりか」
と食って掛かるけど、一切合切無視する。
その為、更に頭に血が登っている。
模擬戦は、新島の大振りで雑な攻撃を全て躱した上で、剣を弾き飛ばして右側頭部に一撃を入れて終了。
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