第127話 戦術課中部駐屯地(1)
高度治療室の一件が終わった時点で、12時を回っていたので中部方面戦略課の駐屯地に移動する事になった。
駐屯地は病院から車で15分程の距離にあるので、昼食は駐屯地の食堂で食べる事になり、伊坂さんと高月さんと一緒に移動した。
山本さんが平田さんの側を離れたがらなかったので、久喜さんが警護を兼ねて病院に残っている。
駐屯地に着くと食堂へ直行して昼食を食べる。
味も良かったのだけど、隊員向けの食堂なだけあって量も多かったので、1/3にして貰ったがそれでも多かった。
伊坂さんは大盛りで、高月さんは普通に一人前を食べていました。
午後、司令室を訪れる。
司令室には篠本さんが待っていた。
篠本さんは司令も兼任しているそうだ。
伊坂さんが病院を出る前の状態を報告している。
これまでも定期的に報告を入れていたので、状況の把握は出来ているようだった。
「そうか、まだ意識は戻っていないのだな。
平田の扱いは、当面、傷病休職扱いにする。
ところで、治療の方針はどうなっている?」
と篠本さんが聞く。
「治療は、4段階に分かれます。
第1段階で、2つに分かれている
第2段階で、
この時点で、
第3段階で、
第4段階は、
意識が回復して体調が戻れば、魔力を使用しない仕事なら可能ですが、日々の検診は必要です。
第2段階に移行できれば現場復帰は可能ですが、以前の様な無理は出来ません。
現在は第1段階の
篠本さんは、しばし考えてから
「伊坂、訓練校の宿直棟に予備の部屋はあるか?」
「十分にあります」
「神城を病院通いさせるより、宿直棟に住まわせた方がいいな。
伊坂、平田が退院したら、
「了解しました」
「他に何かあるか?」
「あります」
「ほう、話を聞こう」
「魔蟲に侵された地域防衛隊隊員が3名入院していました。
魔蟲の存在に気づいた神城が、魔蟲を除去し隊員達を回復させました。
魔蟲自体は、
以上です」
「それはまた、厄介だな。
魔蟲の件は、こちらで手配しよう。
まあ、しかし、なんだ、初日から問題が山積だな。
本来ならこの後、伊坂班以外の護衛兼訓練相手を行う者達と顔合わせを行うつもりだったんだが、平田の状況とかもあるから中止にした。
この件は、少し時間をくれ。
今日の所は、駐屯地の見学と規定訓練を熟すと良い」
司令室を退室した後、駐屯地の見学よりも先に規定訓練を終わらせたかったので、作業服に着替えてから射撃場に向かった。
訓練用の銃は3種類ある。
警察用のSAKURA M360J
自衛隊用の9mm拳銃SFP9
自衛隊用の89式5.56mm小銃
これらの銃器が訓練用に指定されているのは、警察・自衛隊で広く使用されている為で、同組織と共同戦線を張った際に性能や運用上の利点・問題等を知る事と、非常時に使用する為の訓練でもある。
伊坂さんと高月さんが見守る中、射撃場の受付でSAKURA M360Jと実弾30発を貰う。
射撃場で50m離れた的に向かい、1発1発を丁寧に撃って的中央付近に着弾点を収束させた。
射撃場の整備室で分解整備を行ってから受付にSAKURA M60Jを返し、SFP9と実弾30発を貰う。
射撃場で50m離れた的に向い、1発1発を丁寧に撃って的中央付近に着弾点を収束させた。
整備室で分解整備後、受付にSFP9を返して89式5.56mm小銃と実弾40発を貰い、射撃場で50m離れた的に向かう。
3点バーストで撃つが、最初の数回は的を外さない程度で荒れた。
整備室で分解整備している最中に室内に入ってきた高橋さんから
「ずいぶんと腕を上げたな」
と声を掛けられた。
「そうですか? まだまだ未熟です」
と返すと
伊坂さんと高月さんが呆れた様子で見ている中、高橋さんが
「そんな事は無い。
少なくても練度に関しては、ここの上位陣に匹敵している」
と返答後、苦笑いをして
「訓練用の銃を3丁を合計100発撃って、整備時間を入れて1時間半位か。
ここの馬鹿共なら30分掛からず終わっている訓練だが、彼奴等は1丁の銃で適当に100発撃って整備もしないで終わらせている。
対してお前は、3丁の銃の癖を掴みながら1発1発を丁寧に撃ち、的も大きく外す事は無く事後整備も丁寧に仕上げてある。
同じ訓練でも内容と練度が違う。
訓練精度と時間は、これから経験を積めば短縮されるから気にする必要はない。
まったく、比較する事すら馬鹿らしい。
彼奴等に、神城の爪の垢を飲ませたい位だ」
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