第126話 治癒士と治癒師(2)
私がトレイに置いた物に視線が集中している。
そして、誰もが私に解説を期待しているが今はそれどころじゃない。
再び患者に手刀を下ろし、患者の体内から合計5個の球形カプセルを取り出してトレイに置いた後、右手に纏った水を別に用意された膿盆に注いでから
「この患者の治療は終わりです。
速やかに患者の体を清めてください。
そちらの2人の患者の治療も行います。
変えのトレイを準備してください」
そう言ってから、2人目の患者の前に移動する。
トレイを持った看護師が、別の看護師にトレイを持ってくる様に指示をだすと大慌てで走っていった。
その看護師はトレイ上の球形カプセルをマジマジと見つめて
「中に
と叫んだ。
その声に集まった医師と看護師は、トレイに載った球形カプセルを次々に覗き込んでは
「本当に魔蟲が閉じ込められてる」
「うわー、気持ち悪い」
等々、感想を述べてる。
2人目の患者の鑑定が終わった頃に、トレイを取りに行った看護師と応援で駆けつけた看護師が3名と数名の医師がやって来た。
最初にトレイを持った看護師が、応援に来た医師達にトレイの上の球形カプセルを見せて説明していた。
トレイを取りに行った看護師が私の横に待機したので、最初の患者同様水を纏った手刀を落として、患者の体内から球形カプセルを合計4個取り出した。
その様子を見ている野次馬からは
「すげー、これって心霊手術だよな」
「俺、初めて見た」
「患者の体に傷が残っていない」
「神の手だ」
「パーカップ・ラ○ディの再来か?」
「何者なんだ、あの嬢ちゃん」
「おい、手の空いてる奴、大至急HCUまで来い」
等々、外野がうるさいけど無視をして3人目に向かう。
鑑定している間に人が増え、既に見た人達が後から来た人達に説明して、球形カプセルに閉じ込めた魔蟲を見て驚いていて騒がしい。
外野がうるさくて集中が切れたので、深呼吸をして心を落ち着かせてから、集中し直して3人目の患者の治療を行う。
3人目の患者の体内からは、合計8個の球形カプセルを取り出した。
この患者の魔蟲は、他の二人の物より一回り小さいけど数が多かった。
そんな中、治療が終わった患者を一ツ山さんが魔力触診で一人一人診ている。
宮田さんと
最初から居た医師と看護師も、患者に取り付けてある計測器のデータを診ている。
状態確認が終わり、異常が無い事を確認した一ツ山さんが全員を代表して私の行動について説明を求めてきた。
「この部屋から微弱な魔物の反応がありました。
調査結果、そこの3人の患者の体内から多数の反応がありましたので、魔蟲の除去を行いました。
治療も行ったので生命の危機は脱しています。
それと、摘出した魔蟲は私の記憶にありません。
新種か亜種の可能性があります。
魔蟲は、物理・魔力結界と鉱物の結晶で封じていますが、72時間以内に東海支局
魔蟲を閉じ込めた球形カプセルが載ったトレイを持つ看護師が、直ぐに病理検査室に送る準備をする為に球形カプセルを運び出した。
その後、一ツ山さんの指示に従い隣のナースステーションに移動する。
殆どの医師と看護師も付いてくる。
そこで改めて私の紹介が行われる。
その際に
「彼女は、
と言われて、誰と言わないが1名驚いているが他の人達は納得していた。
ただし、心霊手術は例外で医師の立会が不要という謎分類。
だから、
なので私も訓練校を卒業後は、対魔庁関連の医科大学に通う予定だ。
いつ資格を取ったのか?
それは、能力習得実験後直ぐに若桜さんから
「治癒師免許取得を目指そう」
と言われ、良く分からない内に試験の申込みをして、1月に学科試験、2月に実技試験を受けて合格した。
後で聞いたら、2年以上訓練をしてから治癒士試験を受け、実務で3年以上経験してから治癒師試験を受けるが普通らしい。
学科は勉強すれば誰でも大体なんとなるそうだが、実技はしっかりとした基礎と実践的な技術が必要となるうえ、複数の
あと、
ただ、特定の大学や学部を出ていると有利になる資格はある。
治癒師免許も医科大学卒なら、学科試験の一部が免除になる等の優遇処置はある。
私は、若桜さんを始め
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