第122話 秘匿任務
通話が終わると高月さんが
「誰と話していたの?」
と聞くので
「三上さんに報告していました」
と答えると皆「え、誰?」という反応になった。
そんな中、伊坂さんが思いついた様に
「ひょっとして、東海支局
「ええ、そうです」
久喜「ちょっと待て。
普通、俺達に報告後、班長が判断するべき事だろ、なんで
高月「ちょっと、前、前見て、前」
伊坂「神城さん、どういうことか説明してくれるよね」
「私には、東海支局から幾つか任務が与えられています。
平田さんの件もその内の一件です。
なので、報告及び決定権も東海支局が持っています」
伊坂「東海支局は、俺達を信用していないのか?」
「違います。
事前に通知すると真偽が分からなくなる為、秘匿されているだけです」
高月「それって、信用してないってことじゃない」
高月さんが更に言い募ろうとした時に、山本さんが語気を強くして
「高月! 少し黙っていてくれ」
と言った為、顔を真赤にして沈黙した。
「いくつか確認したいが良いか?」
「どうぞ」
「お前は、幾つか秘匿任務を受けて、俺達に内容を教える事が出来ないのだな」
「その通りです」
「中部方面隊で、その事を知っている者は居るのか?」
「いいえ、ここに居る人間しか居ません」
「平田の
それは何故だ」
「おかしいと思いませんか?
既知の
しかも解除後は、数日動けない程の肉体的ダメージを負います。
しかし、平田さんの場合はランク1つ以上強くなります。
しかも、身体能力だけでなく具現化系風まで強くなっています。
なのに報告書では、魔力がなくなるまで暴れても翌日には普通に活動できてます。
明らかに代償が少なすぎます。
報告書での戦闘能力の記載では、能力値不明の為、実際の変動や魔力値がわからず、事前事後の差を調べても不明と言う状態です。
過去に本人の同意の元による実験では、既知の
私の様にいつでも詳細に見る事ができ、側に居るのも不自然で無い人物が居たら、要観察を言い渡されるのも当然だと思います」
「それは分かった。
では、何故俺達に相談もなく、三上主任に報告して処置を委譲した?」
「中部方面隊では、対応不可と判断したからです」
山本さんは、怒気を飛ばしながら
「だから、それは何故だ!!」
と叫んだ。
私は淡々と
「平田さんが、いつ死んでもおかしくないからです」
「どういう事だ。
いつも、数日後には復活しているんだぞ」
「それがどうしたと言うのですか。
彼女と直接交戦した経験を持つ貴方方なら、彼女の異常性に気づいていたはずだ。
何故、放置していたのですか?」
「異常なんかではない。他の人よりちょっと強くなり過ぎるだけだ」
「自分の都合の良い言い訳をしていただけですか。
彼女の異常性がリスクも無しに行えていると考えていた者に処置を任せる事は出来ません。
また、それを黙認していた中部方面隊も同様です。
答えとしては十分だと思いますがどうでしょう」
伊坂さんが山本さんの肩に手を置き
「神城さんの言葉が正しい。
俺達は平田の能力を把握しておきながら、特に気にしないで受け入れていた。
この件に対して信用が無いのも仕方がない」
山本「晋」
高月「ところで、さっきの報告では一定時間後に目を覚ますと言っていたのと矛盾しない?」
「
「「「「?」」」」
「平田さんの
先程の報告でも言った通り、2つある
この
高月「分からないわ」
久喜「俺もさっぱりだ」
伊坂「俺も知らない」
山本「
「三上さんの仮説では、片方もしくは両方の
A2相当なら、20kmになりますよ。
これを聞いても悠長な事言えます?」
伊坂「済まない。俺の、俺達の認識不足だった。
「三上さんの立てた仮説の中で最悪の可能性に当たっただけです。
今の私に出来る事は現状維持だけです。
専門家の支援が必要です」
山本「現状維持?」
「今は、これ以上
山本さんは、絞り出した様な声で、「南を頼む」と一言言うと両手を組んで俯いてしまった。
私が中学校の卒業式後から訓練校に入校するまでの間にしていた事は、秘匿任務に必要な知識・技術の習得だった。
その中で得た技術で平田さんの傷ついた
修復方法も習っているが、下手な修復は余計に悪化させる可能性が高いと判断したから現状維持だ。
しかし、三上さんが「奇抜すぎて笑うしか無い仮説なんだが」と言っていた
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