第119話 模擬戦(対 平田 南)
高月さんは、ああ言ったけど実際は魔力は半分以上残っているし、奥の手は出していないと思う。
有事の際に、魔力が無くて対応出来ませんでしたという訳にはいかないので、1日で回復できる範囲に収めているからだ。
魔力を空っぽにしたら全回復まで3日位かかるらしいから、模擬戦では1日で回復できる範囲で納めるのが常識なのだ。
山本「次は、平田準備はいいか?」
平田「いつでも行けるよ」
中央に向かって歩く平田さんに向かって、山本さんは「程々でいいからな」と声をかけた。
平田さんは、振り返りもせず、剣を持った右手を上げて「了解」と返した。
平田さんの装備は、体は久喜さんと同じ装備で、右手にショートソード、左手に直径50cm位の丸みを帯びた
中央で対峙する。
伊坂さんの合図と共に双方が飛び出す。
平田さんは、盾を全面に押し出し、右手を後ろに引き絞って突進してくる。
平田さんの攻撃範囲に入る直前に、直感に従って右側に大きく飛んで避ける。
直後、それまで居た空間を何かが横切る。
ギリギリで回避していたら、不可視の何かに吹き飛ばされていた。
着地して、直ぐに平田さんに向けて
平田さんは、通り過ぎた直後に停止、反転して右手の剣を突き出して突進してくる。
全く勢いが削がれる事なく、突っ込んでくる平田さんの剣を紙一重で躱すが、吹き飛ばされてしまった。
素早く起き上がり構えるが、平田さんは突進してきたままの格好で立ち止まって、肩を震わせている。
山本「高月、あれ、スイッチが入ったか?」
高月「ええ、スイッチが入りました」
山本「直ぐに動ける準備をしろ」
平田さんは、剣を下ろして私の方に向き直った。
恐ろしい程、清々しい笑顔で
「神城さん、すごいよ。
ボクのシールド・チャージと
さあ、続きをやろう」
そう言うと、再びシールドを前面に出し、右腕を後ろに引き絞った。
平田さんの走り始めに合わせて、足元の床を泥地に変えた。
泥地に足を取られ速度が落ちた所に、石柱を頭上から落とすと同時に平田さんに向かって走り出す。
平田さんは、石柱を右腕を突き上げ、刺突で破壊した。
隙きの出来た右側に回り込み、右脇腹に向かってナイフを振るうが、無理やり差し込まれた盾に阻まれてしまった。
直後に、振り上げていた剣が振り下ろされた。
ナイフの刃が盾の表面で滑って体勢が少し流れてしまったので、回避の始動が遅れた。
とっさにナイフの寝かせ、ナイフの腹に左手を添えて頭上で斬撃を受け止める。
直後、左肩に痛みが走る。
左手の力が抜けた事により平田さんの剣を左に流す事が出来たので、そのまま右側に飛び距離を取る。
平田「へぇー、
満面の笑みを浮かべて私に向き直ると、右手の剣を上段から下段まで振り抜いた。
私が衝撃波を躱すと、一息に距離を詰めた平田さんが眼の前に居て、剣を突き下ろしてきたので、剣の腹を左手の甲で左外に弾くと同時に一歩踏み込んでナイフを振るうが、盾でいなされて体勢を崩されるのを堪えた直後に、右切上の斬撃が襲ってきたのでしゃがんで躱し、懐に入り込もうと前に飛び込むが、切上の勢いを利用して一回転した平田さんのシールドアタックで弾かれてしまう。
着地と同時に正面から平田さんの斬撃が真上から襲ってくる。
ナイフを剣に合わせつつ、左に飛ぶ。
着地すると目の前に回転する飛来物が襲ってきた。
躱す暇は無いので両手をクロスして、魔力を高めて防御したが10m以上吹き飛ばされた。
背中から着地した為、衝撃で呼吸困難になり
平田さんは、私に迫りながら飛翔物を左手でキャッチすると剣を水平に振るった。
衝撃でほんの少し意識が飛んだが、平田さんが衝撃波を放とうしているのを検知したので、回避行動を取ろうとするが体に力が入らない。
「平田、やりすぎだ!」
伊坂さんの怒声が響く。
平田「班長こそ、邪魔しないでよ。
あの娘は、この位でリタイヤする様な
まだ、奥の手を隠しているって、ボクの感が訴えているんだ。
だから、邪魔!」
一歩も引かないで、斬撃の応酬をしている。
私の方に、久喜さんと高月さんが走って来た。
久喜さんは、私と平田さんの間に立つと平田さんの向いて盾を構える。
私は、高月さんに抱きかかえられた。
久喜「高月、神城さんの状態は?」
素早く私の状況を確認した高月さんが
「意識はあるわ。
ただ、両腕と肋骨は折れてる」
と伝える。
久喜さんは、悔しそうに「そうか」と呟いた。
平田さんは伊坂さんと激しい戦闘を続けているが、その背後に気配を消した山本さんが近ついて、脳天にトンファーでの強烈な一撃で強制的に意識を刈り取った。
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