第116話 伊坂班
食堂で、伊坂さんと山本さんと一緒に夕飯を食べた。
私達の周りに人は居ないが、周囲からの注目度は、非常に高い。
二人共、戦術課の制服だし、その向かいに私が居るのだから仕方ない。
人の目があるので食事中の会話は、当たり障りのない会話をした。
食事後、厚生棟の前で伊坂さんと山本さんと別れて寮に戻る途中で、田中さん達が走って迫ってくる。
田中「神城さん、一緒に居た隊員の人達って知り合いなの?」
都竹「あの人達は誰?」
土田「教えて、教えて」
鳥栖「ちょっと、そんなに一気に詰め寄ったら、答えられないわよ」
土田「そんな事言ったって、気になるじゃない。
どこで、あんなイケメンと知り合いになったのか気になるでしょう。」
確かに
「以前からお世話になっている人達の関係者だよ。
今日は、挨拶の為にここに来ただけだよ。」
土田「ほう、相手は神城さんが気になっていると」
「まあ、気になっているでしょうね。仕事だから」
土田「仕事? 神城さんに会う事が仕事?」
「うん、仕事。
今日は、仕事の都合で顔合わせで会っただけだよ」
土田「仕事って、何の仕事?」
「私、保護されているから、定期的に面談が行われるだけだよ」
鳥栖「保護ってなに?」
「私、特殊能力者保護令の対象者だから、保護対象期間の間は護衛がついたり、面談等がちょくちょくあるよ。」
都竹「護衛がつくって、お嬢様みたい」
「そんなに良いものじゃあ無いよ。何処に行くのも事前に申請がいるから、自由に動き回れないよ」
都竹「それは、大変だ」
田中「神城さんも、苦労しているんだ」
「少なくとも、訓練校内は自由に動けるからまだ良いよ。
外出するときは、申請と護衛が必要だけどね」
土田「破るとどうなるの?」
「多分、24時間護衛付きとか、隔離施設の方に移動とかになるのかな?」
「「「「!!!!」」」」
「多分、そんな感じになると思う」
都竹「それは大変だ」
鳥栖「無理なお誘いは厳禁」
田中「うん、気をつけよう」
土田「了解」
その後は、他愛も無い会話をしながら寮へと帰った。
寮の玄関で4人と別れて部屋に戻り、シャワーを浴びる。
あの4人は、お風呂の帰りに食堂で夕ご飯を食べていたそうだ。
シャワーを浴びた後は、普段通り、洗濯と勉強をしていつもの時間に寝る。
朝も普段通りに起きて、いつも通り朝のルーティンを熟してから教室に行く。
違うのは、今までより10分早く教室に向かった事だ。
教室に着くと、いつもの4人は既に居た。
朝のホームルームまで、他愛も無いお喋りをする。
この時間が、普通を実感させてくれる。
朝のホームルームの後は、全国統一高校生テストが始まる。
科目は、英語、数学、国語、理科、地理歴史、公民の6教科だ。
午前中に4教科、午後に2教科を受けて15時30分になった。
テストの手応えについては、死屍累々のクラスメイトを見ればどの程度出来たが一目瞭然だった。
実際、お昼休みも沈んだ顔をした生徒が多かった。
平気な顔をしているのは、私を含めた数名だけだった。
テストが終わると、霧咲教育官は生徒に運動場に出る様に指示した。
私は霧咲教育官から、宿直棟に向う様に言われたので別行動だ。
宿直棟では、伊坂さん達5人が待っていた。
一人は、資源ダンジョンで地上に戻った時に太和さんが説明していた人だ。
改めて紹介された。
の5名が、伊坂班の班員だそうだ。
私の事を山本さんが
「訓練校在学中は、俺達の班の臨時隊員になる神城 優 准尉だ。
彼女の所属は、東海支局教導隊になる。
これが、彼女の能力一覧だ」
そう言って、訓練校に提出した能力一覧を表示したタブレットを久喜さんに手渡した。
それを覗き込んだ彼らは、固まったまま凝視している。
しばし沈黙が流れ
高月「こんなに小さくて可愛いのに、准尉でランクB7とか信じられない。
でも、可愛い子は大歓迎」
平田「資源ダンジョンで、水を補給してくれた時に高ランクだと思ったけど、B7なんて思わなかったよ」
久喜「教導官達が、なんで彼女を連れてダンジョンに潜っていたのか、
反応は、それぞれだった。
山本「いいか?
俺達の目的は、神城さんに経験を積ませる事だ。
普段は訓練校で過ごすから、能力訓練時間はうちの班が主となって、能力訓練と戦闘訓練をつける事になった。
土曜は、午前中に対魔庁関連の医療機関で治癒師としての訓練を積んでもらい、午後は駐屯基地で訓練を行う。
日曜は、休養日に当てるが、神城さんが外出する際は護衛官をつける」
平田「なんで、護衛官をつけるの?
彼女の能力なら不要だと思うけど」
山本「理由は2つある。
一つは、彼女が特殊能力者保護令対象者という事。
もう一つが、よく釣れるそうだ」
平田「ナルホド、釣れた後の処理する人が必要ってことね」
高月「確かに、ごみ処理は必要ね」
暗い笑顔浮かべる二人に対して、久喜さんが「お前ら、怖いぞ」と呟いてしまった直後に、二人に睨まれて小さく悲鳴を上げていた。
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