第96話 資源ダンジョン(7)
夜営中は、特に襲われる事も、魔物の気配も無く休む事ができた。
朝の支度が終わると、私が見つけた横道が有った場所まで移動する。
そこで、改めてその場所を教えた。
太和「確かに、一見したらわからないな。」
黒崎「私も、言われなければ分からなかった。」
幅30m、天井まで20mもある大きな真っ直ぐな通路の中程の天井付近にその通路は有った。
幅5m、高さ3m程度しかなく、しかも天井付近の岩陰では気付かなくても仕方なかった。
全員、身体強化を使って飛び移り曲がりくねった道を進むと、その先に広間が有るのが見えた。
そして、そこに待ち受けている大量の蜘蛛の群れも居た。
「黒崎さん、初めて探知する魔物です。」
黒崎「これは、
太和「数を聞くまでも無いな。
神城、極ナントカを使ってくれ。」
黒崎「極低温ショットブラスト」
太和「おう、それそれ。」
「分かりました。」
極低温ショットブラストを広間に展開し、広間の
更に極低温状態を維持しつつ、圧縮と回転数を上げて行く。
広間全体(30m☓30m☓20m)を覆っていた極低温を1m位の球体まで冷却しながら圧縮した。
黒崎「極低温の珠、どうするの?」
「この先にある通路で、炸裂させます。」
太和「は? どういう事だ?」
黒崎「通路の先がクランク状になっていて、その先に第2陣が待ち伏せている。」
戸神「その珠をクランクの先に移動させて、炸裂させるということですか?」
「はい、その通りです。」
太和さんは、頭をガシガシと掻いた後、「分かった。やってくれ」
「はい」
私は、球体の前に行き、球体を移動させる。
太和「あれは、どうやって移動させているんだ?」
戸神「球体を維持している風の
太和「はあ、器用なことをする。」
戸神「多分、今さっき思いついた事を試しているんだと思いますよ。」
太和「天才の思いつく事は、俺には想像も出来ねーな。」
霜月「太和、お前何を言ってる?」
太和「純粋な感想だ。
あいつと初めて会った時から、そう評価しているだけだ。
それ以外の事は、なーんとも思っていない。
それに、あいつが天才だろうと、まだまだ子供だ。
変な方向に行かない様に、見守るのが俺達
そうだろう。」
霜月「その通りだな」
クランクまでやって来た。
クランクの先は、少しの直線通路の後、広間になっている。
この広間の天井は、通路よりかなり高く、天井まで40m位あり、出口側の壁と天井に大量の
また、出口を塞ぐ様にも
圧縮球を撃ち出して、真正面の
広間を白い暴風が襲い、壁や天井に張り付いて居た
広間とその先の通路のかなり先まで探知出来ていた生命反応が消えた。
太和「先に進めるか?」
「結界を張れば可能と思います。」
太和「それで行ってみよう。」
全員が物理結界に入ったのを確認してから、通路を塞いでいた物理結界を解除すると、強烈な冷気が襲ってきた。
私達は、物理結界に阻まれて何も起こらないが、周辺は真っ白になった。
大気中の水分が凍ったみたいだ。
太和「これは、今まで一番強烈だな。」
「想定の何倍もの冷気になっている。」
太和「取り敢えず、進んでみよう。」
誰も何も言わず広間に入ると、そこは白銀の世界だった。
魔物の残骸すら見当たらない。
奥の通路を進んでも変わらず、100m程進んだ所で、大型SUV自動車のハマー位のサイズの体に、その2倍もありそうな長い脚が8本。
前足2本の
残りの足の中央部(
お腹の方は、蛇腹の様な外骨格になっており、頭部はヘルメットでも被っている様にもみえる。
そんな
「溶けたら、復活するのかな?」
そう言っている側から、氷像は崩れ落ちる。
黒崎「これは、無理そうだね。
もう少し先に生命反応が有るから、辛うじて生きているのが居るみたい。」
更に進むと、氷像の群れの中に、全ての足が砕け、体も半分凍った瀕死の
山奈さんが結界を出て、頭部を一撃で粉砕して止めを刺す。
その反動で、凍った体が砕け散り、バスケットボール位の大きさの魔石が転がり出た。
それを回収し、先に進む。
時折、瀕死の
ここまで、一本道だったから、この辺りまで冷気が分散せずに届いたという事なんだろう。
散発的に襲ってくる
この広間で、道が分岐しており、片方が下層に向かう道になっている。
そして、もう一方の道の先に、魔物の気配を感じる。
その中に、未知の魔物の気配も混じっていたので、黒崎さんに確認すると、
太和「どの位居る?」
「少なくとも100は超えていると思います。」
太和「ところで、広範囲を凍らせた冷気の奴、もう一度撃てないか?」
「どうでしょう。やってみないと分かりません。」
太和「なら、やってくれ。」
霜月「太和、無茶を言うな。」
太和「だが、このままチマチマ攻略していると、罠に嵌まるぞ。
実際、ここまで
向こうの下層に向かう通路自体が、罠とも考えられる。
なら、先に
霜月「確かに、そうなんだが。
優ちゃん、無理はしなくて良いからな。」
そう言って、後ろに下がった。
私は、前に出て
「少し、時間を下さい。」
そう言うと、直径10m位の極低温球を作り、それをビーダマサイズまで冷却しながら圧縮する。
10個の極低温球を作り、それを1つに併せてビーダマサイズに冷却しながら圧縮する。
更に9回同じ極低温球を作り、1つの圧縮した極低温球を作り上げた。
最初に作った極低温球100個分の圧縮球が完成した。
太和「それ、物凄く恐ろしい結果を出しそうだな。」
戸神「此処まで来たら、腹を括りましょう。」
通路の前に行き、圧縮球を通路に放り込むと同時に入り口を、物理・魔力結界と厚さ3mの土壁で塞いだ後、圧縮球を開放する。
地響きが響き、探知範囲内の生命反応が消えた。
終わったかなと思ったら、下層に向かう通路から冷気と凍った
凍った
私は、慌てて物理結界で皆を包んだ。
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