第82話 初戦闘(2)
敵が広場に入り込み、焚き火の明かりによって、より鮮明に映し出される。
太和「神城、敵はゾンビだ。
細切れにするか、呪術核を破壊しろ。
森が近いから火気厳禁だ。」
そう言い残して、手近なソンビに近づき、右手の正拳突きでソンビの胸に大穴を開けて、呪術核ごと粉砕していた。
山奈「前方30、その奥から更に30接近中。
この数を、火系の
浄化系の
黒崎「無いもの
そんな事を言いながら、山奈さんは
黒崎さんも、正確にゾンビの呪術核を
霜月さんも、一撃で呪術核を粉砕して次々とゾンビを粉砕する。
戸神さんは、左手で
ゾンビ共は苦悶の表情に、眼球が腐り落ちかけたり、目が空洞だったり、一部白骨化していたりする。
黒ずみ腐食した皮膚の裂け目から、赤黒い筋繊維と白い
動き事体は、遅いが絵面が凶悪だ。
私も近づいてきたゾンビに、素早く接近して呪術核がある心臓の位置に魔力を纏わせた戦闘用ナイフを突き立て、素早く引き抜き距離を取る。
戦闘用ナイフを抜かれたゾンビは、そのまま地面に倒れ込んで動かない。
遠距離攻撃をしないのは、まだ細かい制御が出来ない為だ。
放出系の
先制攻撃で大きいのを撃つ以外は、
戦闘用ナイフは、腐った肉を容易く貫き呪術核を破壊出来るのだか、人だった者を倒す毎に嫌悪感と嘔き気が襲ってくる。
第一波を撃破した所で、第二波が襲ってきた。
照明弾の代わりに、光の
次に浄化の
何度も浄化の波動を放ちながら、ゾンビの呪術核を破壊していった。
相当な数のゾンビが波状攻撃で襲ってきたが、その全てを撃破した。
ゾンビの数は、300を超えていたと思う。
私達の周辺には、ゾンビが身に着けていた遺留品が散乱しているだけだった。
浄化の波動は、呪術核を破壊されたゾンビにも有効だったらしく、ゾンビ化した遺骸も塵と化した。
その御蔭で、立ち回りの障害にならなかったのは良かった。
太和「警戒を続けながら、各人休息を取れ。」
その言葉を聞いて、敵襲が一段落した事が分かると、気が抜けた為か、恐怖と嫌悪感と強烈な嘔き気に襲われた。
慌てて近くの草むら(ゾンビが襲撃した方向とは反対側)で、号泣しながら嘔吐した。
太和「霜月、神城を頼む。
現場検証と警戒は、俺達でやっておく。」
霜月「ああ、分かった。」
私の側に来た霜月さんが、背中を擦ってくれる。
胃の中が空になっても、暫くえずいていた。
ようやく落ち着いた所で、状況確認を行う事になった。
遺留品から、この地で死んだ者では無く、別の場所から此処に集められたと思われる事と、今回の件には
自然発生のゾンビは、死体に瘴気や魔力が溜まり、瘴気石もしくは魔石が生成されて、そこに悪霊系の魔物が憑依して発生する。
この場合、死体の近くに瘴気、魔力の溜り場が存在する事が、発生条件として必要不可欠だ。
今回のような
この呪術核が、ゾンビの動力源と制御装置になる。
ゾンビというより
そして、浄化の
浄化の
自然発生のゾンビに浄化の
死体は、瘴気や魔力が浸透しているだけなので、元に戻るだけらしい。
浄化で悪霊が消滅するのは、悪霊そのものが持つ魔力を霧散させて消滅しているのではないかと考えられているそうだ。
一方、
ゾンビの体を維持をしている魔力が霧散することで、形状を留められなくなって塵になっていると考えられているそうだ。
呪術核を破壊して放置していると、数時間で塵になるそうだ。
実際、蛆虫はその場に残されていた。
遺留品は、太和さん達が持参した袋に詰めて広場の隅に置かれていた。
現在位置と状況をサポート部隊に連絡したそうで、その内回収に来るそうだ。
今後の行動は、日の出までこのまま待機で、日の出と共にゾンビ共がやって来た方角を調べる事になった。
その後は、太和さんが女性陣に囲まれて怒られていた。
怒っている内容は、私が恐慌に陥っていた時に殴って正気を取り戻した件だ。
女の子の顔を、しかもガントレットを装備して殴った事について相当お怒りのご様子だ。
非常時だったので、その時は何も言わなかったそうだが、状況が一段落した今ならと、すごい剣幕で怒っている。
太和さんが言い訳をする度に、状況が悪化しているが、私は知らんぷりを決めた戸神さんに連れられて少し離れた場所に移動して、お説教を受けていた。
私が初戦闘で緊張や恐怖で失敗するのは予め予想された事だったそうで、今後の戦闘に立つ上での心構えとか対処方法が主だった内容だった。
特に言い聞かされたのは、「戦場に立ったら、殺られる前に殺れ。」と「敵の中には、人型生物も存在するし、人間や人間から変異した者も存在する。だから、戦場で敵対したら、一切の慈悲も
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